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蛹
「蛹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蛹の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「菜の花」より 著者:小島烏水
になって、柱のような茎を取りまいて居る、此柱の頭から、莟みが花傘なりに簇がって、
蛹虫の甲羅のように、小さく青く円くなっている。莟みの集団の下から、房になった黄色....
「愛と美について」より 著者:太宰治
しないじゃないか。なんだ、こんどの犬は、またひどいじゃないか。これは、ひどいね。
蛹でも食って生きているような感じだ。妖怪じみている。ああ、胸がわるい。 ――そ....
「縮図」より 著者:徳田秋声
るような気がするのであった。 真綿は繭を曹達でくたくた煮て緒を撈り、水に晒して
蛹を取り棄てたものを、板に熨して拡げるのだったが、彼女は唄一つ歌わず青春の甘い夢....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
。俺には勇気がある筈だ。俺は俺の上に起った変化を懼《おそ》れずに迎えねばならぬ。
蛹《さなぎ》が蛾となって飛廻るためには、今迄自分の織成した美しい繭を無残に喰破ら....
「老年と人生」より 著者:萩原朔太郎
、昆虫のように生態させてくれなかったかと言うのである。昆虫の生態は、幼虫時代と、
蛹虫《ようちゅう》時代と、蛾蝶《がちょう》時代の三期に分れる。幼虫時代は、醜い青....
「蚤」より 著者:斎藤茂吉
絨緞を一寸めくると、蚤の幼虫も沢山つかまえることが出来た。それから繭をつくって、
蛹になったのも居た。僕はそれ等をあつめ、重曹の明瓶などに飼っていたことがある。無....
「文学以前」より 著者:豊島与志雄
翌年また水田の中に放せば、その年の秋までに、料理に程よい大きさとなる。餌には乾燥
蛹をやる。
蛹を食って育った養殖鯉も、数週間、清冽な池水の中に泳がせておけば、河中....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、死のみが――おそらく――人を解放してくれるということを。 しかし、殻から出た
蛹《さなぎ》は、新らしい外皮の中に喜んで手足を伸して、自分の新しい牢獄《ろうごく....
「九龍虫」より 著者:上村松園
栗、人参などを買って来てあたえてみた。 二週間ほどしてから覗いてみたら九龍虫の
蛹がいくつも出来ていた。 さらに半月ほどしてからしらべてみると、もう何百匹とな....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
る。 犠牲者はその時から献身者の地位に立たされねばならなかった。繭に籠っていた
蛹が蛾と化り、不随意に見えた世界を破って、随意自在の世界に出現する。考えてみれば....
「機構への挑戦」より 著者:中井正一
カタローグが、印刷カードが図書館組織として要求されはじめている。現実は恰も、蚕が
蛹となり、更に繭となるように、「形態《モルフェ》」として自己自らを「変貌《メタモ....
「水と骨」より 著者:佐藤垢石
紛れに信州から養殖のはやを取り寄せ、利根で釣れたのですといって誤魔化したところ、
蛹臭いので直ぐ化けの皮が現われたという話である。 越後の魚野川は、雪の山から出....
「三つの痣」より 著者:小酒井不木
ようにあかるく、血のついた皮膚が、気味の悪いような白さに輝きました。一匹の、まだ
蛹から出たばかりであるらしい蠅が、摺ガラスに打つかっては、弱い羽音を立てて居りま....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
。あの時も君を軽視してはいなかった。
追って綺麗な蝶になると云うことは、
毛虫や
蛹の時から分かる。若々しい
※れた髪をして、レエスの著いた襟を掛けて、
君は子供....
「由布院行」より 著者:中谷宇吉郎
たり吐き出したりしている中《うち》に、すっぽりと呑み込んでしまうのである。信州で
蛹《さなぎ》を喰う鯉を見た時には、何だか厭《いや》な気がしたのであるが、今度は余....