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「蝴蝶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蝴蝶の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新生」より 著者:島崎藤村
還《かえ》るのを待っている。眼も疲れ心も疲れた。ふと花壇のほとりを見やると、白い蝴蝶《こちょう》がすがれた花壇に咲いた最初の花を探しあてたところである。そしてそ....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
の電信の柱があると、母衣が凧。引掛りそうに便なく響が切れて行く光景なれば、のべの蝴蝶が飛びそうな媚かしさは無く、荒廃したる不夜城の壁の崩れから、菜畠になった部屋....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
のすらりとしおらしき人品。これや北風に一輪|勁きを誇る梅花にあらず、また霞の春に蝴蝶と化けて飛ぶ桜の花にもあらで、夏の夕やみにほのかににおう月見草、と品定めもし....
映画雑感(Ⅳ)」より 著者:寺田寅彦
り映画のスクリーンの世界にのみ可能な一種不思議な夢幻郷である。観客はその夢幻郷の蝴蝶になって観客席の空間を飛翔してどことも知らぬ街路の上に浮かび出るのである。 ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
議な媚しさは、貸小袖に魂が入って立ったとも見えるし、行燈の灯を覆うた裲襠の袂に、蝴蝶が宿って、夢が※とも見える。 「難有う、」 「奥さん難有う。」 互に、青月....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
るは真紅の肱附。牡丹たちまち驚いて飜れば、花弁から、はっと分れて、向うへ飛んだは蝴蝶のような白い顔、襟の浅葱の洩れたのも、空が映って美しい。 老人転倒せまい事....
促織」より 著者:田中貢太郎
て、精しくその虫の能を上書した。 その虫がすでに宮中に入ると、西方から献上した蝴蝶、蟷螂、油利撻、青糸額などいう有名な促織とそれぞれ闘わしたが、その右に出る者....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
れ――」 絵の具皿を持っていた娘は呼んだ。 「山田|美妙斎《びみょうさい》の『蝴蝶《こちょう》』のようだわ。」 乙姫《おとひめ》さんの竜《たつ》の都からくる....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
当字で、イチハツとは鳶尾《エンビ》で、鳶尾とは紫羅襴《シララン》で、紫羅襴とは紫蝴蝶《シコチョウ》で、紫蝴蝶とは扁竹《ヘンチク》で、扁竹とは Iris tect....
父の墓」より 著者:岡本綺堂
は、人事|畢竟夢の如し。誰か寒き冬を嫌いて、暖き春を喜ぶものぞ、詮ずれば果敢なき蝴蝶の夢なり。 然れども思え、いたずらに哭して慟して、墓前の花に灑ぎ尽したる我....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
別附録は当時の大家の顔見世狂言として盛んに評判されたもんだ。その第一回は美妙の裸蝴蝶で大分前受けがしたが、第二回の『於母影』は珠玉を満盛した和歌漢詩新体韻文の聚....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
快き光を放ち、その間には光沢ある薄桃色の蕎麦の花が今を盛りと咲き競う、彼方此方に蝴蝶の数々が翩々として花に戯れ空に舞い、雲雀はまた華蔵世界の音楽師は我のみぞと言....
山の人生」より 著者:柳田国男
もまた多くの聴衆と同じく、憑いた生霊、憑いた神と同化してしまって、荘子の夢の吾か蝴蝶かを、差別しえない境遇にあった結果ではないかを考えしめる。 近ごろでも新聞....