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蟲
「蟲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蟲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「接吻を盗む女の話」より 著者:佐左木俊郎
はそこを斜めに横切るのだった。秋草の上には夜霧が最早しっとりおりていた。そして秋
蟲がその中に鳴いていた。 荒れ野原はすぐに小住宅区域に続いていた。その住宅区域....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
収入増加があった。 だが、記者たちは、いずれも困憊し、そしていずれも苦《に》が
蟲《むし》を噛みつぶしたような顔をしていた。 「一体これからどうなるんだ、われわ....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
名は」夫人「ハイ申しますよ」とて余に書かしめたは「ハント郡、ペイトン市の在にて養
蟲園主人穴川甚蔵殿」と云う宛名だ、余は他日何かの参考にも成ろうかと思い其の名を我....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
果てた皮膚に這いずっているものは、凄美などという感じよりかも、むしろ、乾燥びた蟯
蟲の死体のようでもあり、また、不気味な鞭毛
蟲が排泄する、長い糞便のようにも思われ....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
一九二一・一・一八朝) 憧憬 ――三之助の手紙―― 哲学者は淋しい甲
蟲である。 故ゼームス博士はこうおっしゃった。心憎くもいじらしき言葉ではないか....
「火星探険」より 著者:海野十三
などの鳥類や、それから気味のわるい蛇《へび》や鰐《わに》や蜥蜴《とかげ》などの爬
蟲類《はちゅうるい》を入れた網付の檻もあった。早合点をする人なら、ははあここに動....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
史もその市民も、坂も空地も商業街も電柱も石ころも、それらの発散する捨鉢な幻怪味と
蟲惑も、音楽も服装も食物も、みんな落日を浴びて長い影を引いている。言わば、小さな....
「街頭」より 著者:岡本かの子
田舎おやじらしい、塔の欄干から外へ墜ちかけた。若者がズボン釣を捉えた。おやじは甲
蟲のように※く。下はセーヌを目尺にして巴里の鳥瞰図が展開する。群集の興味はズボン....
「鴨の喜劇」より 著者:井上紅梅
し、いとも不思議な感じがする。その間に時々蛇の声も交って『シュウシュウ』と鳴いて
蟲の声に合せるのではないか……」 彼はあの時の気分を追想するかのように想い沈ん....
「方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
は、読んで読んで鼻についたほどの、アリスの不思議国行脚ですけど、このなかには、青
蟲や泣き海亀やロック鳥などが、この世にない、ふしぎな会話をかわし人真似をしながら....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
の良い堂守と思えば間違いはない。 ところが、その髪を仔細に見ると、それも髭も玉
蟲色に透いて見えて、どうやら染められているのに気がつくだろう。そうして、愚かしく....
「一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
とお呼びになる声がします。 尻あがりの、声を聴いただけでも一人娘の、びりびり
蟲のつよいところが触れてくる。 しかし、下婢のパドミーニはここには居りません。....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
うとするのであるが、それは、鵜の羽音でも波浪の響でもなく、陰々と、地下にすだく地
蟲の声なのであった。 その夜、洲蘆の出島を、最後の渡船が出たのは、十時過ぎであ....
「東洋文化史における仏教の地位」より 著者:高楠順次郎
より前からあるのでありますが、密陀絵という絵風がある油絵である。 推古天皇の玉
蟲の厨子も密陀絵であります、これはペルシャの言葉で「ムルダーセン」というのである....
「古事記」より 著者:太安万侶
皇に申し上げましたことは、「皇后樣のおいで遊ばされたわけは、ヌリノミの飼つている
蟲が、一度は這《は》う
蟲になり、一度は殼《から》になり、一度は飛ぶ鳥になつて、三....