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蠱惑的
「蠱惑的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蠱惑的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
実の出来事でもあるかのように思いなして、目の前に見る酒に赤らんだ事務長の顔は妙に
蠱惑的《こわくてき》な気味の悪い幻像となって、葉子を脅かそうとした。
「少し飲み....
「星座」より 著者:有島武郎
なことであって、そしていいことだ。俺はとにかく誘惑を避《さ》けよう。俺はどれほど
蠱惑的《こわくてき》でもそんなところにまごついてはいられない。しかも今のところお....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
ことである。 すなわち女優諸君が真に美貌に執するならば、そしておのれの持つ最も
蠱惑的な美を発揮したいならば、むしろすすんで眉を落し歯を染めるべきであるというこ....
「河明り」より 著者:岡本かの子
で、それほどとも思いませんが、土人たちは所謂、女房を質に置いても喰うという、何か
蠱惑的なものがあるんですね」若い経営主は云った。 「南洋の果ものには、ドリアンば....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
角なりな気持の絡み合いは、何か美しい綾の多い葉子の話しぶりによると、それは相当|
蠱惑的なローマンスで、モオパサンの小説にも似たものであった。途中のある旅館におけ....
「不沈軍艦の見本」より 著者:海野十三
た百十九種の燻製のそのいずれにも属せず、且つそのいずれもが足許にも及ばないほどの
蠱惑的な味感を与えたものであるから、かねて燻製には食い意地のはったる博士は、卓子....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
界の矛盾は人間的「不安」にまで還元され、之と取り換えられるのだ。――恐らくこれ程
蠱惑的な形而上学は、之まで無かったとさえ云っていいだろう。だが又之ほどシニカルで....
「真夜中から黎明まで」より 著者:豊島与志雄
を倍加する。地上の生ある物皆は、人も獣も草も木も、そういう深みの底に沈み溺れて、
蠱惑的な窒息に眠り入る。それはまさしく、寂滅の時、逢魔の時、呪咀の時、丑時参りの....
「春の幻」より 著者:豊島与志雄
てる彼は、刹那主義の享楽者である。そして、神のない地上の刹那々々の享楽は、如何に
蠱惑的でまた力弱いことであろう! 其処に、春の歓楽と哀愁とがある。一の面影を石に....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
。で、その女――島子なのであるが――その島子の人工的斜視は、妖精的に美しい。また
蠱惑的といってもいい。また誘惑的といってもいい。いやいや明きらかに彼女の目は、露....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
らである。 「ホー」とそこで溜息をしたが、京助は思わず手を上げた。苦しいほどにも
蠱惑的の物を、うっかりと見た自分自身の眼を、急いで抑えようとしたのであった。が、....
「発明小僧」より 著者:海野十三
果」というのが、実に名文で、一読、やき芋屋へ走りたくなるという御婦人方には極めて
蠱惑的なものである。乃ち―― 作用ト効果 本考案品ハ右ノ如キ構造ニシテ加熱板....
「人造物語」より 著者:海野十三
論、本当の女優さん方の演出であるが――「魂のない人間」に扮しているだけに、非常に
蠱惑的なものがあった。屍姦だとか、人形を弄んだりする人達の気分が、なんだか判るよ....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
れこそ産れて初めてだよ」 薄衣の下で身もだえをした。桃色の薄衣が裸休に準じて、
蠱惑的の襞を作っている。胸の辺りが果物のように、両個ムッチリ盛り上っていたが、乳....
「妻」より 著者:神西清
淡で、横柄な蔑みのうす笑いを浮かべて受け答えをする女であるにせよ、やっぱり彼女が
蠱惑的に見え、誇らしく思われ、この女から別れて行くことは私には怖ろしい、とてもで....