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「血潮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

血潮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
し》はむなしく紐《ひも》をとどめて、ずたずたに裂かれた袴《はかま》も、なまぐさい血潮に染まっている。が、それも、太刀と鉾《ほこ》との林の中から、一人に会えば一人....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
座にその相手に、恐ろしい神罰を祈り下しました。おかげで井戸の水が腥《なまぐさ》い血潮に変ったものもございますし、持《も》ち田《だ》の稲を一夜《いちや》の中に蝗《....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
見えない手に、そっと胸の小刀《さすが》を抜いた。同時におれの口の中には、もう一度血潮が溢《あふ》れて来る。おれはそれぎり永久に、中有《ちゅうう》の闇へ沈んでしまった。……… (大正十年十二月)....
或る女」より 著者:有島武郎
からすぐこうしたわがままな貞世のすねにすねた声が聞こえたと葉子は思った。まっ黒な血潮がどっと心臓を破って脳天に衝《つ》き進んだと思った。目の前で貞世の顔が三つに....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
出できぬ。 これらとともに戦争は生れ 二つの金属はこれに武器を貸し与えぬ。 そは血潮に染みし手に打ち振られて鳴りひびきぬ。 世は掠奪に生き奪えるものを貪り食らい....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
に触れたのである。 萎れた草花が水を吸い上げて生気を得たごとく、省作は新たなる血潮が全身にみなぎるを覚えて、命が確実になった心持ちがするのである。 「失態も糸....
空中墳墓」より 著者:海野十三
わけには行かなかった。彼の懐にしのばせた短刀には、既に松風号の操縦士、風間真人の血潮がしみついているのではなかろうか。 松井田が生きているとすれば、松風号はど....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
され、胃壁を通じて濁った血となったのだった。頸動脈を切断して、ドンドンその濁った血潮をかいだしても、かい出し尽せるものではなかった。彼の肉塊をいちいち引裂いて火....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
中を乗越え、頭を踏潰して、前へ出た。腰から下半身一帯は、遭難者の身体から迸り出た血潮で、ベトベトになった。まるで、赤ペンキを、一面に、なすりつけたような恐ろしい....
柿色の紙風船」より 著者:海野十三
と起き上った。 「いや、あれに違いないぞ。うん、そうだ」 私の全身には、俄かに血潮の流れが早くなった。手足がビリビリと慄えてきた。 「よォし、畜生……」 私....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
たものか、ひどく肉が裂けていた。その傷口からは、待ちうけていたように、また新しい血潮がドクドクと湧きだした。一郎はハッと屍体から手を離した。血潮は頸部を伝わって....
火薬船」より 著者:海野十三
とだから、平靖号が、ここでノールウェー汽船の雇船になっておわるというのでは、躍る血潮の持っていきどころがない。だから一つの議論が、さらに二つの議論を生むという調....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
る波の彼方に、荘厳なること仏のごとく、端麗なること美人に似たり。 怪しきものの血潮は消えて、音するばかり旭の影。波を渡るか、宙を行くか、白き鵞鳥の片翼、朝風に....
キド効果」より 著者:海野十三
間からレールの上に落ちるが早いか、ザクリとやってしまったのだった。パッと飛び散る血潮が車輪から車体の下部から周囲一面を真赤に染めた。 さてこれは本来ならば、大....
夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
とお思い下さい。勿論その時分乗りものが有ろう筈もない。 然るに湧き返る青年達の血潮は玄海灘から吹きつける肌寒い夜風位いには驚きません。歌論は歌論へ、秋月は歌心....