血相[語句情報] » 血相

「血相〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

血相の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
身の、忘れる事のできない「弟」である。太郎は、かたく手綱《たづな》を握ったまま、血相を変えて歯がみをした。このことばの前には、いっさいの分別が眼底を払って、消え....
疑惑」より 著者:芥川竜之介
うかして下さいまし。」とも申しました。が、私に励まされるまでもなく、別人のように血相を変えて、必死に梁を擡《もた》げようと致して居りましたから、私はその時妻の両....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
童部《わらべ》はまたこう繰り返しましたが、鍛冶が返事をしないのを見ると、たちまち血相を変えて、飛び立ちながら、父の手に残っている竹馬を両手でつかむが早いか、沙門....
首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
れて、妙に口の中が渇いて来る。そこへほとんど、眼球がとび出しそうに眼を見開いた、血相の変っている日本騎兵の顔が、大きな口を開《あ》きながら、突然彼の馬の前に跳《....
魔術」より 著者:芥川竜之介
わざわざ骨牌《かるた》を始めたのですから、こうなると皆あせりにあせって、ほとんど血相《けっそう》さえ変るかと思うほど、夢中になって勝負を争い出しました。が、いく....
点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
て来た。僕は又造作もなく投げ倒した。僕の父は三度目には「もう一番」と言いながら、血相を変えて飛びかかって来た。この相撲を見ていた僕の叔母――僕の母の妹であり、僕....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
ろと云いました。(杉の根がたに落ちていたのは、その時捨て忘れた縄なのです。)男は血相《けっそう》を変えたまま、太い太刀を引き抜きました。と思うと口も利《き》かず....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
が、仕合せと通りかかった辻車が一台あったので、ともかくもその車へ這い上ると、まだ血相を変えたまま、東両国へ急がせました。が、その途中も動悸《どうき》はするし、膝....
或る女」より 著者:有島武郎
ていた。葉子には愛子の沈んだような態度がすっかり読めた。葉子の憤怒は見る見るその血相を変えさせた。田川夫人という人はどこまで自分に対して執念を寄せようとするのだ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
惚れたんだろう。一も二もなく妙ちゃんを見染たんだ。」 「うう、まあ……」と対手の血相もあり、もじもじする。 「惚れてよ、可愛い、可憐いものなら、なぜ命がけになっ....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
るがごとく、袖を抱いてすッくと立つ、姿を絞って、じりじりと、絵図の面に――捻向く血相、暗い影が颯と射して、線を描いた紙の上を、フッと抜け出した足が宙へ。 「カー....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
て、いやいやをしたもんだから、ついぞ荒い言をいったこともない旦那が、何と思ったか血相を変えて、 (不孝者!)といって、握拳で突然環をぶとうとしたから、私も屹とな....
式部小路」より 著者:泉鏡花
も拾って、腕まもりでも拵えよう、」 とまっしぐらに立向った、火よりも赤き気競の血相、猛然として躍り込むと、戸外は風で吹き散ったれ、壁の残った内は籠って、颯と黒....
註文帳」より 著者:泉鏡花
出す前兆か、恐しく怯されるの、しっかりさっししっかりさっし。」といいながら、余り血相のけたたましさに、捨ておかれずこれも起きる。枕頭には大皿に刺身のつま、猪口や....
活人形」より 著者:泉鏡花
る筈、ちょいと逢おうと思って来た。「ふむ、してどんな御婦人だね。「ちと気が狂れて血相変り、取乱してはいるけれど、すらっとして中肉中脊、戦慄とするほど美い女さ。と....