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「血膿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

血膿の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
ざみ》一つぎりで、ほとんど裸と変わりがない。見ると、その胸や腹は、指で押しても、血膿《ちうみ》にまじった、水がどろりと流れそうに、黄いろくなめらかに、むくんでい....
黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
に入れたものだが、あゝ、之こそ、僕の疑惑を固く包んだ結核を押し潰して、ドロ/\の血膿を胸の中に氾濫させたものなのだ。 野村君、必ず順序を狂わせないで、読んで呉....
自由画稿」より 著者:寺田寅彦
、どうかするとその内の一つ二つの瘡蓋《かさぶた》がはがれて大きな穴が明き、中から血膿《ちうみ》が顔を出しているのを見て気味の悪い思いをした記憶がある。見るだけで....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
妻のほほえみ 透明な産室の 窓ぎわの朝餉) そして 硝子にえぐられた双眼が血膿と泥と 雲煙の裂け間 山上の 暮映を溜め あなたたち 泣いても涙のでどころの....
海豹島」より 著者:久生十蘭
膚は出血斑で蔽われている。髪の毛はすっかり脱け落ちて、わずかに残った眉毛の毛根が血膿をためていた。これから推すと、膝関節にも腫脹がはじまっているのだろう。のろの....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
に、貝を持って行かしゃれ」 「貝を買うておくれなされ」 「…………」 武蔵は、血膿によごれた足のボロを解いていた。あれほど悩ませた患部は、すっかり熱も腫れもひ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
とに目もあてられぬ斑点を増して、腫れた所は赤ぐろく耀き、無数といっていい孔からは血膿を出した。それは煮え沸る火山の噴火口が幾つもの吐けぐちから硫黄を噴いているの....
大谷刑部」より 著者:吉川英治
と、味方の悲壮な敗報ばかりを伝えた。 「うむ……。うむ……」 刑部の顔には、血膿がながれていた。血の涙のように家臣たちには見えた。 一族あらかた、先を急ぐ....