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血行
「血行〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
血行の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
ばんだ体に風を入れながら、鬱陶しい冠《かぶり》ものを取って、軽い疲労と、健やかな
血行の快い音に酔っていた。腿《もも》と臀部《でんぶ》との肉に懈《だる》い痛みを覚....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
こうした感情は日光浴の際身体の受ける生理的な変化――旺《さか》んになって来る
血行や、それにしたがって鈍麻してゆく頭脳や――そう言ったもののなかに確かにその原....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、その間に鬱積していったものが、突如凄じく吹きしく嵐と化して、聖家族の一人一人に
血行を停めてゆこうとした。しかも、その事件には驚くべき深さと神秘とがあって、法水....
「大脳手術」より 著者:海野十三
ない。 「それはもちろん周倒な試験がなされる。特に神経反応は念入りに検べられる。
血行状態は心臓カージオグラフによって完全に確かめられる。運動と筋肉の関係は有尺高....
「楢重雑筆」より 著者:小出楢重
昂進させる。 例えば、ふと紅の封筒が自分のポケットから飛び出したとしたら、忽ち
血行は変調を来たすであろうし、電車の中で美人の視線といささか衝突してさえも、直ち....
「電車と風呂」より 著者:寺田寅彦
しこの説が日本の浴場にも通用するかどうか少し疑わしい。自分の考えでは温浴のために
血行がよくなり、肉体従って精神の緊張が弛んで声帯の振動も自由になるのが主な原因で....
「坂田の場合」より 著者:豊島与志雄
いよい肉附で、鼻の秀でた色白の好男子だが、特質としては、頬がひどく蒼ざめていて、
血行がとまったかと思われることがあり、眼差しがぼんやりして、ただ宙に浮き、仮睡の....
「聖女人像」より 著者:豊島与志雄
を嘲るのだ。蛙には蛙の本能的な意図があろう。見つめてる私には、自ら自分を凝らして
血行が悪くなり、一種の憔悴のみが残される。ばかばかしいことだ。蛙と同じように、待....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
に感じる。非常に驚いたり、また恐れたり、著しい心の劇動があると、そのために筋肉や
血行に急変を起し、即座に電流が変るから電流計の鏡が著しく動く。この事を利用して重....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
なく、かえってその血管を、押し潰していることが判ったからだ。 すなわち、瞬間に
血行を止めた即死の原因は、それで判るにしても、だいたい頭の円い乳棒のようなもので....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
うね。あんな所を何故犯人が縛ったかと云えば、精神の激動中に四肢の一部を固く縛って
血行を妨げると、その部分に著しい強直が起るからなんだ。それと同じような例が、刑務....
「地上」より 著者:島田清次郎
自分があの男と同じ蚊帳の中で眠る。彼女はある一つのことに神経が触れたとき、全身の
血行をじっと動かさずに考え込まねばならなかった。(ああ、あの男に今、旅の芸妓の自....
「岡ふぐ談」より 著者:佐藤垢石
済みか。いや、試食どころではない、常食にしちょる。猫肉は、精気を育み体欲を進め、
血行を滑らかにすると、ある本に書いてあったから、先年来密かに用いたところ、なるほ....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
たに訳の判らぬことを嘆きました。随分勝手なお喋りもしました。それが結局僕の精神的
血行を促したのでしょうね。おかげで僕の一方の精神が強まり、僕の精神がどうやら盛り....
「ある自殺者の手記」より 著者:小酒井不木
るということを法医学の講義できいた。縊死の際には、頸動脈が圧迫されるので、脳への
血行が遮断され、それがために何の苦痛も感じないということだ。けれども、君も経験し....