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行く先
「行く先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行く先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
えた。倉地が旅に出た留守に倉地の下宿に行って「急用ありすぐ帰れ」という電報をその
行く先に打ってやる。そして自分は心静かに倉地の寝床の上で刃《やいば》に伏していよ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
に触れて、貴女は、と一言聞くが最後よ、活きてはいられない大事の瀬戸。辛く乗切って
行く先は……実の親の死目である。道子が心はどんなであろう。 大巌山の幻が、闇の....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
莞爾して、 「どういたしまして。」 「いや、事実ですよ……家はこんなでも、裁縫に
行く先方に、また、それぞれ朋だちがありましてな、それ引手茶屋の娘でも、大分|工合....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
日本化学会の会合のある室に届いているのである。また彼の側にある特設電話器の延びて
行く先を辿ってゆくならば、例の会合のある三階の窓際にある衝立の蔭に達しているのを....
「三角形の恐怖」より 著者:海野十三
業も私のように理科や工科の人であったり、或いは画家であっても困ると思って細田氏の
行く先々にも度々ついて行きましたが、都合のよい事に細田氏は無職で毎日何をするとい....
「柿色の紙風船」より 著者:海野十三
も紙風船は丸福に落ちていたのだった。だから柿色の紙風船は、この店にあるより外に、
行く先がなかった。売れたのかしら? 「……もう風船はないのですか」 「唯今、これ....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
と、障子の外で、ことん、ことん、廊下を踏む足音がする。「どなた?」と従妹が立って
行く先に障子を細目に開けたのは麻川氏だった。「やあ、お茶ですか、また来ましょう。....
「転機」より 著者:伊藤野枝
顔をして私達二人の容姿に目を留めながら、念を押すように、今私のいった谷中村という
行く先きを聞き返しておいて、 「何んでも、その堤防を越して、河を渡ってゆくんだと....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
しゃる少え人が、手鞠を拾ったちゅうはどこらだっけえ。」 「直きだ、そうれ、お前が
行く先に、猫柳がこんもりあんべい。」 「おお、」 「その根際だあ。帽子のふちも、....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
奥へ入った村里を廻る遍路のような渠等には、小唄|浄瑠璃に心得のあるのが少くない。
行く先々の庄屋のもの置、村はずれの辻堂などを仮の住居として、昼は村の註文を集めて....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
に、浅草へ出勤て、お染はまだ間もなかった頃で、どこにも馴染は無いらしく、連立って
行く先を、内証で、抱主の蔦家の女房とひそひそと囁いて、その指図に任かせた始末。 ....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
むけて、その言うことばがよくわかっていたのですから、この屋敷を出て行くにつけても
行く先が知れていました。 重い手かごを門の外に置いて、子どもを抱き上げて、自分....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
るか死ぬかというこれが情婦だったって、それじゃ愛想を尽しましょう、おまけにこれが
行く先は、どこだって目上の親方ばかりでさ、大概神妙にしていたって、得て難癖が附こ....
「恐怖の幻兵団員」より 著者:大倉燁子
れたことがあるんですか?」 「幾晩もつづけて開けるということはありませんが、時々
行く先も云わずに、ふらりと夕方から出かけて、翌朝ぼんやりと帰って来るようなことが....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
れほど孤独な悲しい生活をして来たかは、君には信じられないくらいだ。僕の病気は僕の
行く先々にまるで幽霊みたいに立ちふさがって、僕は人間を逃げていた。僕は厭人家と見....