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「行く手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

行く手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
辻《つじ》を、南へやる赤糸毛《あかいとげ》の女車《おんなぐるま》が、静かに太郎の行く手を通りすぎる。車の中の人は見えないが、紅《べに》の裾濃《すそご》に染めた、....
」より 著者:芥川竜之介
闇の中に、注意深い歩みを運んでいた。 その内に彼はふと足を止めると、不審そうに行く手を透《す》かして見た。それは彼の家の煉瓦塀《れんがべい》が、何歩か先に黒々....
女体」より 著者:芥川竜之介
ず茫然と立ちすくんだ。が、彼を驚かしたのは、独りそればかりではない。―― 彼の行く手には、一座の高い山があった。それがまた自《おのずか》らな円《まる》みを暖く....
或る女」より 著者:有島武郎
始めた。 懺悔《ざんげ》の門の堅く閉ざされた暗い道がただ一筋、葉子の心の目には行く手に見やられるばかりだった。 三四 ともかくも一家の主となり、妹たちを....
二つの道」より 著者:有島武郎
欲張った歩き方をしているし、さらにある者は一つの道の分かれ目に立って、凝然として行く手を見守っている。揺籃《ようらん》の前で道は二つに分かれ、それが松葉つなぎの....
卑怯者」より 著者:有島武郎
ど前にかしげながら、泣かんばかりの気分になって、彼はあのみじめな子供からどんどん行く手も定めず遠ざかって行った。....
星座」より 著者:有島武郎
》っていくのを見た。清逸はふとそれに気を取られて、どこまでもその静かに動いていく行く手を見とどけようとした。たくさんな落葉の中でその木の葉だけは、動くともなく岸....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
てて、紆濤は屏風倒しに倒れかえる。わきかえるような泡の混乱の中に船をもまれながら行く手を見ると、いったんこわれた波はすぐまた物すごい丘陵に立ちかえって、目の前の....
赤外線男」より 著者:海野十三
見つけて来たかと思うような堂々たる五階建のアパートなどが目の前にスックと立って、行く手を見えなくした。彼は忌々しそうに舌打ちをして、大田中アパートにぶつかると、....
転機」より 著者:伊藤野枝
は、小高くなった畑地は何処か後の方に残されて、道は両側とも高い葦に迫られていた。行く手も、両側も、後も、森として人の気配らしいものもしない。 「橋の処からここま....
世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
き鳴らして、皇帝の使臣のために道を開くように人々に告げ知らせた。しかしラザルスの行く手には誰も立つ者はなかった。彼の生地では、この奇蹟的によみがえった彼の増悪す....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
にことほおえみましたので、それに力を得て、おかあさんは子どもを抱き上げて、さらに行く手を急ぎました。 そのうちに第一の門に来ました。二人はそこを通って跡に※を....
余齢初旅」より 著者:上村松園
。 夜があけて、船室から甲板に出てみると来し方の海水は青々としているけれども、行く手の海は赤い色をしている。それまでは島もなく目を遮るものとてもなかったが、ゆ....
穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
きのようだ、が険しくて隙取れ、一時間ばかりかかった。昨日で辟易した幔幕、またぞろ行く手を遮る、幕の内連が御幕の内にいるのは当然だ、と負け惜みをいいつつ、右に折れ....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:ヴェーゲラーフランツ・ゲルハルト
た、以前よりは倹約家になった…… 不幸なことに不健康という嫉妬ぶかい悪魔が僕の行く手を妨げに来た。三年以来僕の聴覚は次第に弱くなった。原因は、以前に僕が悩まさ....