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「行人〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

行人の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
尾生の信」より 著者:芥川竜之介
むろに暮色を加えて行く、あたりの静かさに耳を傾けた。 橋の上にはしばらくの間、行人《こうじん》の跡を絶ったのであろう。沓《くつ》の音も、蹄《ひづめ》の音も、あ....
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
。少くとも本に負う所の全然ないものは一つもなかった。実際彼は人生を知る為に街頭の行人を眺めなかった。寧ろ行人を眺める為に本の中の人生を知ろうとした。それは或は人....
十円札」より 著者:芥川竜之介
れども保吉の内生命《ないせいめい》には、――彼の芸術的情熱には畢《つい》に路傍の行人《こうじん》である。その路傍の行人のために自己発展の機会を失うのは、――畜生....
猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
とした。現に死刑の行われた夜《よ》、判事、検事、弁護士、看守《かんしゅ》、死刑執行人、教誨師《きょうかいし》等は四十八時間熟睡したそうである。その上皆夢の中に、....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
さじ》を愛さなければならぬ。雲の光り、竹の戦《そよ》ぎ、群雀《むらすずめ》の声、行人の顔、――あらゆる日常の瑣事の中に無上の甘露味を感じなければならぬ。 人生....
卑怯者」より 著者:有島武郎
ゆく日ざしの下を、彼らはわめきたてる蝙蝠《こうもり》の群れのように、ひらひらと通行人にかけかまいなく飛びちがえていた。まともに突っかかって来る勢いをはずすために....
星座」より 著者:有島武郎
ら妬《や》かれるから」 「柿江、貴様《きさま》はローランの首をちょん切った死刑執行人が何んという名前の男だったか知っているか」 前のは人見が座を立ちそうにしな....
夜行巡査」より 著者:泉鏡花
ださいな。助けて、助けて」と呼び立つれど、土塀《どべい》石垣寂として、前後十町に行人絶えたり。 八田巡査は、声をはげまし、 「放さんか!」 決然として振り払....
追憶」より 著者:芥川竜之介
会主義論よりも彼の獄中生活などに興味を持たずにはいられなかった。 「夏目さんの『行人』の中に和歌の浦へ行った男と女とがとうとう飯を食う気にならずに膳を下げさせる....
村芝居」より 著者:井上紅梅
然に押され押されて木戸口に出てしまった。 街は観客の車以外にはほとんど一人も通行人がなかった。それでも木戸口には十何人か頭を昂げて芝居の番附を見ていた。外に一....
私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
ことにした。 台湾巡業は翌年の四月までつづき、その間私は斬られるさむらいや、通行人ばかりになつて舞台の上に身をさらしていたが、演技に関する私の理論はこの間の経....
良夜」より 著者:饗庭篁村
視して過ぎたり。金龍山の鐘の響くを欄干に背を倚せてかぞうれば十二時なり。これより行人稀となりて両岸の火も消え漕ぎ去る船の波も平らに月の光り水にも空にも満ちて川風....
余齢初旅」より 著者:上村松園
ぐあいにあるのであって、誰も私のように物珍しくみているものなぞはないのである。通行人はそれを知らん顔をして通っているのである。日本ではそんな行き倒れなどがあると....
式部小路」より 著者:泉鏡花
、柳屋の柳にかけた、賽が一箇、夜のしらしらあけの頃、両国橋をころころと、邪慳な通行人の足に蹴られて、五が出て、三が出て、六が出て、ポンと欄干から大川へ流れたのを....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
通覧す。当日は祝日にして、諸店閉鎖し、博物館、美術館も入場するを得ず。ただ街上の行人、織るがごときを見るのみ。植物園は川に臨み、前岸の風光やや佳なり。園内またひ....