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行李
「行李〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
行李の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
郎は独り蘭袋に辞して、故郷熊本へ帰る旅程に上《のぼ》った。彼の振分《ふりわ》けの
行李《こうり》の中には、求馬《もとめ》左近《さこん》甚太夫《じんだゆう》の三人の....
「或る女」より 著者:有島武郎
でもうれしいんですもの」
愛子の答えは冷然としていた。十畳の座敷に持ち込まれた
行李《こうり》を明けて、よごれ物などを選《よ》り分けていた葉子はその様子をちらと....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
、箒とはたきを立て掛けた、中の小座敷に炬燵があって、床の間が見通される。……床に
行李と二つばかり重ねた、あせた萌葱の風呂敷づつみの、真田紐で中結わえをしたのがあ....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
った。西に小窓が一つあって、不完全な押入が設けられてあった。その押入の中には、柳
行李やら鞄やらが入っている。そして、成程、天井の板が一枚めくられていた。一同はゴ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
雑沓を縫って往ったり来たりしていた。 泥塗れのビショ濡れになってる夜具包や、古
行李や古|葛籠、焼焦だらけの畳の狼籍しているをの前を通って、無事に助かった海苔屋....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
、くさばかげろうの幽霊です。 その手拭が、娘時分に、踊のお温習に配ったのが、古
行李の底かなにかに残っていたのだから、あわれですね。 千葉だそうです。千葉の町....
「故郷」より 著者:井上紅梅
の本家や親戚の人達がわたしを訪ねて来たので、わたしはそれに応酬しながら暇を偸んで
行李をまとめ、こんなことで三四日も過した。 非常に寒い日の午後、わたしは昼飯を....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
縁日 柳
行李 橋ぞろえ 題目船 衣の雫 浅緑 記念ながら 縁日 ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
――折からのざんざ降で、一人旅の山道に、雨宿りをする蔭もない。……ただ松の下で、
行李を解いて、雨合羽を引絡ううちも、袖を絞ったというのですが。――これは、可心法....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
の『罪と罰』を読んだのは明治二十二年の夏、富士の裾野の或る旅宿に逗留していた時、
行李に携えたこの一冊を再三再四反覆して初めて露西亜小説の偉大なるを驚嘆した。 ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
雲間に高きお姓名の、雁の便に聞ゆるにぞ、さらば助を乞い申して、下枝等を救わむと、
行李そこそこかの地を旅立ち、一昨日この地に着きましたが、暑気に中りて昨日一日、旅....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
婦ともに乗船したるものがある。毎日、亭主はその赤子をあるいは抱き、あるいは小さき
行李に入れて、介抱しておるに、妻は勝手に、ほかの人々とカルタ遊びをして楽んでおる....
「松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
十七年の夏、偶事に因て出京せるを幸い、平素の欲望を達せん事を思い、旅寓に投じて、
行李を卸すや否や、先ず主人を呼で二氏の近状を問う。主人答て曰く、團十郎は新富劇に....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
さだ。このままクリーニングに出すのさえ憚かられる。彼は血に染ったシーツと一緒に、
行李の底に納い込み、戸棚の奥へ押し込んだ。それからプレッスをさせたばかりの外出着....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
単ならしむる事になり、軍の行動に非常な自由を得たのである。殊に将校の平民化が将校
行李の数を減じ、兵のためにも天幕の携行を廃したので一八〇六年戦争に於て仏・普両軍....