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「行違〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

行違の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
にはさすがに人影が一人二人動いていた。大抵は市街地に出て一杯飲んでいたのらしく、行違いにしたたか酒の香を送ってよこすものもあった。彼れは酒の香をかぐと急にえぐら....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
。 (可厭だ、可厭だ、可厭だ。)と、こっちは夢中に出ようとする、よける、留める、行違うで、やわな、かぐら堂の二階中みしみしと鳴る。風は轟々と当る。ただ黒雲に捲か....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の方から勢よく茶畑を走って、草深の町へ曳込んで来た。時に車上に居たものを、折から行違った土地の豆腐屋、八百屋、(のりはどうですね――)と売って通る女房などは、若....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
中に、丸太|薪を堆く烈々と燻べ、大釜に湯を沸かせ、湯玉の霰にたばしる中を、前後に行違い、右左に飛廻って、松明の火に、鬼も、人も、神巫も、禰宜も、美女も、裸も、虎....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
咲いて浅く重る花片に、曇のある趣に似たが、風情は勝る、花の香はその隈から、幽に、行違う人を誘うて時めく。薫を籠めて、藤、菖蒲、色の調う一枚|小袖、長襦袢。そのい....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
法師も言葉なく見送るうち、沖から来るか、途絶えては、ずしりと崖を打つ音が、松風と行違いに、向うの山に三度ばかり浪の調べを通わすほどに、紅白|段々の洋傘は、小さく....
註文帳」より 著者:泉鏡花
前あたりで飴屋の囃子。 紅梅屋敷 六 その荷車と子守の行違ったあとに、何にもない真赤な田町の細路へ、捨吉がぬいと出る。 途端にちりり....
南地心中」より 著者:泉鏡花
危まれたが、対手が、しゃんと来いの男衆だけ、確に引受けられた酔漢に似て、擦合い、行違う人の中を、傍目も触らず饒舌るのであった。 「時に、それについて、」 「あの....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
…小皿の平四郎。 いずれも、花骨牌で徹夜の今、明神坂の常盤湯へ行ったのである。行違いに、ぼんやりと、宗吉が妾宅へ入ると、食う物どころか、いきなり跡始末の掃除を....
古狢」より 著者:泉鏡花
ら、容子といい、顔立もおなじような――これは島田髷の娘さんであった――十八九のが行違った。 「そっくりね。」 「気味が悪いようですね。」 と家内も云った。少し....
星女郎」より 著者:泉鏡花
を彩って、日を経ると、きっとそのものは生命がないというのが知れる……段々嵩じて、行違いなりにも、ハッと気合を入れると、即座に打倒れる人さえ出来た。 が、可恐い....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
円髷も島田も構うものか。 この間に七左衛門花道の半ばへ行く、白糸出づ。 白糸 (行違い、ちょっと小腰)あ、もし、旦那。 七左 ほう、私かの。 白糸 少々伺いとう....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
たように、羽が透き、身が染って、数限りもない赤蜻蛉の、大流れを漲らして飛ぶのが、行違ったり、卍に舞乱れたりするんじゃあない、上へ斜、下へ斜、右へ斜、左へ斜といっ....
守の家」より 著者:伊藤左千夫
自分をおぶった。お松はそれでも暫くそこに立っていたようであった。 それきり妙に行違って、自分はお松に逢わなかった。それでも色のさえない元気のない面長なお松の顔....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
へ行かなかったから、自然大阪本社との意志の疎通を欠き、相互の間に面白からぬ感情の行違いを生じ、或時は断然辞職するとまで憤激した事もあった。この間に立って調停する....