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「行違い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

行違いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
にはさすがに人影が一人二人動いていた。大抵は市街地に出て一杯飲んでいたのらしく、行違いにしたたか酒の香を送ってよこすものもあった。彼れは酒の香をかぐと急にえぐら....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
と直ぐに兼ねて知る根西夫人と云う人の許を尋ねたが間の悪い時は悪い者で、一歩違いに行違い、追い掛けて行く先々で毎もお浦の立った後へ行って、到頭一日無駄に暮した、勿....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
、逃走、放火などの悪性な行動に出たり、或はまた理由のない自殺を企てつまらぬ感情の行違いから食事拒否、服薬拒否等の行為に出て患者自身はむろんのこと看護者に対しても....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
ました。此方は入違って祖五郎の跡を追掛けて、姉のお竹が忠平を連れてまいるという、行違いに相成り、お竹が大難に出合いまするお話に移ります。 三十二....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
中に、丸太|薪を堆く烈々と燻べ、大釜に湯を沸かせ、湯玉の霰にたばしる中を、前後に行違い、右左に飛廻って、松明の火に、鬼も、人も、神巫も、禰宜も、美女も、裸も、虎....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
円髷も島田も構うものか。 この間に七左衛門花道の半ばへ行く、白糸出づ。 白糸 (行違い、ちょっと小腰)あ、もし、旦那。 七左 ほう、私かの。 白糸 少々伺いとう....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
…小皿の平四郎。 いずれも、花骨牌で徹夜の今、明神坂の常盤湯へ行ったのである。行違いに、ぼんやりと、宗吉が妾宅へ入ると、食う物どころか、いきなり跡始末の掃除を....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
法師も言葉なく見送るうち、沖から来るか、途絶えては、ずしりと崖を打つ音が、松風と行違いに、向うの山に三度ばかり浪の調べを通わすほどに、紅白|段々の洋傘は、小さく....
星女郎」より 著者:泉鏡花
を彩って、日を経ると、きっとそのものは生命がないというのが知れる……段々嵩じて、行違いなりにも、ハッと気合を入れると、即座に打倒れる人さえ出来た。 が、可恐い....
書記官」より 著者:川上眉山
たる向うより、湯気の渦巻く濡手拭に、玉を延べたる首筋を拭いながら、階段のもとへと行違いに帰る人あり。乙女なり。かの人ぞと辰弥は早くも目をつけぬ。思いしごとく姿は....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
、買出しに来た商人たちとで、市場は一杯になります。声高に物をいい交し、あちこちと行違い、それはひどい混雑です。毎朝その市場の人込を分けて、肋骨の附いた軍服の胸を....
罠に掛った人」より 著者:甲賀三郎
安になり出した。 彼は外に出て妻を探そうかと思った。然し、当がないのであるから行違いになる恐れがある。彼はどうする事も出来ない不安に、気をいら立たせながら、四....
註文帳」より 著者:泉鏡花
の嘴のごとく田町の空を差覗いて、一しきり烈しくなった往来の人の姿は、ただ黒い影が行違い、入乱るるばかりになった。 この際|一際色の濃く、鮮かに見えたのは、屋根....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
へ行かなかったから、自然大阪本社との意志の疎通を欠き、相互の間に面白からぬ感情の行違いを生じ、或時は断然辞職するとまで憤激した事もあった。この間に立って調停する....
五重塔」より 著者:幸田露伴
りに箸をつけて茶さえゆるりとは飲まず、お吉、十兵衛めがところにちょっと行て来る、行違いになって不在へ来ば待たしておけ、と云う言葉さえとげとげしく怒りを含んで立ち....