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衒
「衒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
衒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
った。それには渡左衛門尉《わたるさえもんのじょう》を、――袈裟《けさ》がその愛を
衒《てら》っていた夫を殺そうと云うくらい、そうしてそれをあの女に否応《いやおう》....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
卒直なる感情よりも零細なる知識を重んずるものである。この故に処女崇拝者は恋愛上の
衒学者《げんがくしゃ》と云わなければならぬ。あらゆる処女崇拝者の何か厳然と構えて....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、酒毒で胸を傷めたのだろうという噂である。年は二十一で、下谷の金杉の生まれだと女
衒《ぜげん》が話した。 「いや、御苦労。まずそれで一と通りは判った」と、半七はう....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で草履屋をしている半介という奴らしい。表向きには草履屋だが、ほんとうの商売は山女
衒で、ふだんから評判のよくねえ野郎だ。おれも二、三度逢ったことがあるから、神田三....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
です。昔はこういう悪い奴が随分ありました。もうひと足おそいと、お直はどこかの山女
衒の手に渡されて、たとい取り返すにしても面倒でしたが、いい塩梅にすぐに取り返して....
「食魔」より 著者:岡本かの子
のもの」としたなら、死もまた「これは、まず、これだけのもの」に過ぎなかった。彼は
衒学的な口を利くことを好むが、彼には深い思惟の素養も脳力も無い筈である。 これ....
「二十五年間の文人の社会的地位の進歩」より 著者:内田魯庵
り苦にしないで、文人の生活は別世界なりとし、此の別世界中の理想たる通とか粋とかを
衒って社会と交渉しないのを恰も文人としての当然の生活なるかのように思っていた。 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
った。 ただしこれは如実の描写に過ぎない。ここに三画伯の扮装を記したのを視て、
衒奇、表異、いささかたりとも軽佻、諷刺の意を寓したりとせらるる読者は、あの、紫の....
「桃のある風景」より 著者:岡本かの子
来る途中、画架を立てて少時、河岸の写生をしている画学生がいる。この美少年は不良を
衒っているが根が都会っ子のお人好しだった。 私は彼を後に夫にするほどだから、か....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いていたが、まるで一つ家のばばあだな。それからどうした」 「その晩すぐ近所の山女
衒を呼んで来て、潮来へ年一杯四十両ということに話がきまりました。安いもんだが仕方....
「蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
おおせず、とうとう白状に及んだということでございます。姉のお定は三五郎という山女
衒――やはり判人で、主に地方の貸座敷へ娼妓を売込む周旋をするのだとか申します。―....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
少しも意気消沈した痕が見えないで相変らずの博引旁証をして気焔を揚げておる。馬琴の
衒学癖は病膏肓に入ったもので、無知なる田夫野人の口からさえ故事来歴を講釈せしむる....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
人風の洒脱な風流|気も通人気取の嫌味な肌合もなかった。が、同時に政治家型の辺幅や
衒気や倨傲やニコポンは薬にしたくもなかった。君子とすると覇気があり過ぎた。豪傑と....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
議な画家の生涯を送った。 だが、椿岳は根からの風流人でも奇人でもなかった。実は
衒気五分市気三分の覇気満々たる男で、風流気は僅に二分ほどしかなかった。生来の虚飾....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
うんだネ。お目出たい咄サ。こんな処はマア低能だネ。」 沼南の清貧咄は強ち貧乏を
衒うためでもまた借金を申込まれる防禦線を張るためでもなかったが、場合に由ると聴者....