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衣紋
「衣紋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
衣紋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
長はまだそこにいたかと、葉子はわれにもなくはっとなって、思わず着かえかけた着物の
衣紋《えもん》に左手をかけたまま、うつむきかげんになって横目をつかいながら耳をそ....
「或る女」より 著者:有島武郎
いしん》が葉子の心をしばらくは余の事柄《ことがら》から切り放した。葉子は車の中で
衣紋《えもん》を気にしたり、束髪《そくはつ》の形を直したりした。
昔の煉瓦建《....
「星座」より 著者:有島武郎
から、親しみ深くおぬいのそばに来て坐った。そして遊んでいる右の手でおぬいの羽織の
衣紋がぬけかけているのを引き上げながら、
「どう思うの」
ともう一度静かに尋ね....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
カタ! 「蛙だね。」 と莞爾した、その唇の紅を染めたように、酸漿を指に取って、
衣紋を軽く拊ちながら、 「憎らしい、お源や…………」 来て御覧、と呼ぼうとして....
「海異記」より 著者:泉鏡花
が横に寝て、起上り小法師のころりと坐った、縁台に、はりもの板を斜めにして、添乳の
衣紋も繕わず、姉さんかぶりを軽くして、襷がけの二の腕あたり、日ざしに惜気なけれど....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
巾にほのめいた、が、匂はさげ髪の背に余る。――紅地金襴のさげ帯して、紫の袖長く、
衣紋に優しく引合わせたまえる、手かさねの両の袖口に、塗骨の扇つつましく持添えて、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
着けた、という異体な面を、襖の影から斜に出して、 (按摩でやす。)とまた、悪く抜
衣紋で、胸を折って、横坐りに、蝋燭火へ紙火屋のかかった灯の向うへ、ぬいと半身で出....
「女客」より 著者:泉鏡花
お民はそのまま、すらりと敷居へ、後手を弱腰に、引っかけの端をぎゅうと撫で、軽く
衣紋を合わせながら、後姿の襟清く、振返って入ったあと、欄干の前なる障子を閉めた。....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
ふらして動いたが、不思議な事には倒れません。 南無三宝。 片手づきに、白襟の
衣紋を外らして仰向きになんなすった、若奥様の水晶のような咽喉へ、口からたらたらと....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
ンの葉の、胸の病の紅い小枝に縋ったのが、凧に儚く散った、一葉女史は、いつも小机に
衣紋正しく筆を取り、端然として文章を綴ったように、誰も知りまた想うのである。が、....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
で、 「ああ。」と云うと、ひしと謙造の胸につけた、遠慮の眉は間をおいたが、前髪は
衣紋について、襟の雪がほんのり薫ると、袖に縋った手にばかり、言い知らず力が籠った....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、薄い座蒲団の傍に、散ばったように差置いた、煙草の箱と長煙管。 片手でちょっと
衣紋を直して、さて立ちながら一服吸いつけ、 「且那え。」 「何だ。」 「もう、お....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
の黒いのも柔和である。白地に藍の縦縞の、縮の襯衣を着て、襟のこはぜも見えそうに、
衣紋を寛く紺絣、二三度水へ入ったろう、色は薄く地も透いたが、糊沢山の折目高。 ....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
根は分れつつ、枝は連理に連った、濃い翠の色越に、額を捧げて御堂がある。 夫人は
衣紋を直しつつ近着いた。 近づくと、 「あッ、」 思わず、忍音を立てた――見....
「活人形」より 著者:泉鏡花
の、処々裂け破れて肩や腰の辺には、見るもいぶせき血の汚点たるを、乱次無く打纏い、
衣紋開きて帯も占めず、紅のくけ紐を胸高に結びなし、脛も顕わに取乱せり。露垂るばか....