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表座敷
「表座敷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
表座敷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
二人の噂が如何《いか》に盛んであったか。 宵祭ではあり十三夜ではあるので、家中
表座敷へ揃《そろ》うた時、母も奥から起きてきた。母は一通り二人の余り遅かったこと....
「義人の姿」より 著者:田中貢太郎
た。横山がその検使であった。 横山は一人の下役を従えて吉平の家へ往った。吉平は
表座敷の塵を払うて自殺の用意をして待っていた。 「いろいろ御厄介をかけてあいすみ....
「仇討三態」より 著者:菊池寛
段富士見町の縁類へ、年始のためだといって、出かけて行った。 家老や用人たちは、
表座敷の方でうち寛いでいた。中間や小者や女中などは、台所の次の間で、年に一度の公....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
火熨斗を当てて穿くようで、不気味に暑い中に冷りとする。 気候はとにかく、八畳の
表座敷へ、人数が十人の上であるから、縁の障子は通し四枚とも宵の内から明放したが、....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
事したころだわ。こん天気のえいのん朝寝していてどうするだい。省作省作、さあさあ」
表座敷の雨戸をがらがらあけながら、例のむずかしやの姉がどなるのである。省作は眠そ....
「家」より 著者:島崎藤村
の方へ出た。大きな看板の置いてある店の横を通り過ぎると、坪庭に向いた二間ばかりの
表座敷がその隣にある。 三吉は眺め廻して、「心地の好い部屋だ――どうしても田舎....
「家」より 著者:島崎藤村
雄さんも非常に勤勉な人で、君のことなぞを酷く心配していたものですがナア。あの広い
表座敷で、君と僕と、よく種々な話をしましたッけ。あの時分、君が言ったことを、僕は....
「御萩と七種粥」より 著者:河上肇
、稲田家の門が寺の門のように大きく、扉には大きな鋲飾りなどが打ってあり、通された
表座敷の襖には大字の書が張ってあって、芝居の舞台が聯想されたことである。 稲田....
「四次元漂流」より 著者:海野十三
あ、皆いってみましょう」 一同は武平のあとを追い、庭をぐるっと廻って、木見邸の
表座敷の方へかけだした。 かけつけてみると、それは果して雪子の母親の発した叫び....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、俯向いて坐った。 (あの娘で可いのかな、他にもござりますよって。) と六畳の
表座敷で低声で言うんだ。――ははあ、商売も大略分った、と思うと、其奴が (お誂は....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
や、貴方がた、おかしなえ。」 ふと気色ばんだお珊の状に、座が寂として白けた時、
表座敷に、テンテン、と二ツ三ツ、音じめの音が響いたのである。 二人は黙って差俯....
「蟹の怪」より 著者:田中貢太郎
のかえりに寄った。伝蔵は戸波の家俊から日傭稼ぎに来ている者であった。お種と母親は
表座敷に行灯を点けて麻をつないでいた。伝蔵は竹の簀子を敷いた縁側にあがって、その....
「ジロリの女」より 著者:坂口安吾
をやつして育ち上った私は、今日なにがしの金力を握って一ぱし正面切ってみても、恋の
表座敷では、とんとイタにつかないミスボラシサを確認したにすぎないようなものだった....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
ったる鎌で、後から、高田殿の喉笛を掻切り、父兄の仇の幾分を報じるのだ。それから又
表座敷へ廻って、越後守光長の首級をも貰い受けよう。そういう復讐の念に燃えるので、....
「錦紗」より 著者:犬田卯
で述べたてたのであった。 すると籠屋は煙管を措き、茶を一杯ぐっと傾けて、さて、
表座敷の神棚から一冊の手垢に汚れた和本を下ろして来て、無雑作にたずねはじめた。 ....