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「表札〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

表札の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
酒中日記」より 著者:国木田独歩
おし》つけられるような気がするのでその一念を打消し打消し歩いた。 「大河とみ」の表札。二階建、格子戸《こうしど》、見たところは小官吏《こやくにん》の住宅《すまい....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
は二階で犯人のように小さく息をこらしていた。顔を両手の中に埋め、眼を閉じていた。表札が「野瀬」となっていることも辛かった。 そんなことがあって見れば、箔をつけ....
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
た。 アロアア区の戸口に佇む一個の人影があった。長身のすっきりした男性だった。表札には「ミルキ夫人」と記されてあった。 扉が音もなくスーッと下にさがった。 ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
オヤ、……」 僕は二重の驚きをもって、雨戸から後へ飛びのくと、そこに掛っている表札を読んだ。 ――浅間新十郎―― ああ、やはり我が家に違いない。――それで....
三人の双生児」より 著者:海野十三
。彼はそこで顔の利く方と見えてズンズン通っていった。そして妾を「レントゲン室」と表札の懸っている部屋へ入れて、三十分間あまり、ジイジイとレントゲン線を発生させて....
血の文字」より 著者:黒岩涙香
今度は案内を請わずして四階の上に飛上る、成るほど生田の室は「飾職生田」と記したる表札にて明かなれば、直ちに入口の戸を叩くに内より「さアお這入り成さい」との声聞ゆ....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
興した登山口だけあって、旧|御師町らしいと思わせる名が、筆太にしたためた二尺大の表札の上に読まれる、大文司、仙元房、大注連、小菊、中雁丸、元祖|身禄宿坊、そうい....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
いように眼かくしをした軽便厠をこしらえた。入口には、杜の名をボール函の真に書いて表札のつもりで貼り出した。名前の横には、彼の勤め先である商会の名も入れて置くこと....
」より 著者:池谷信三郎
ていた。彼はそれを監獄だと信じていた。 やがて馬車は入口に近づいた。だが、門の表札には刑務所という字は見つからなかった。同乗の女がいきなり大声に笑いだした。年....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
かかっていた。 運転手は一揖した。 「はい、お屋敷へ参りました」 私は無言で表札を見上げた。一條寓と記されてあった。 潜戸を開けて入って行った。玄関まで八....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
私はとうとう気が咎めながらもその後をつけて行った。一つの茶園に中に入って行った。表札には岸和とあった。家が解ったからまた見られると思った。それから私はよくその茶....
昨日・今日・明日」より 著者:織田作之助
みると、かつてのわが家の姿はもうそこになく、バラックの入口に「白崎」という申訳の表札の文字が、鈍い裸電燈の明りに、わずかにそれと読めた。 「やあ、うちもやられた....
神経」より 著者:織田作之助
へ帰って、元の本屋をしているのだった。バラックの軒には「波屋書房芝本参治」という表札が掛っていた。 「やア、帰ったね」 さすがになつかしく、はいって行くと、参....
真珠塔の秘密」より 著者:甲賀三郎
三丁歩いて、ある建物の前に来た時に、彼は立止って突然その呼鈴を押した。私は驚いて表札を見ると花野茂としてあった。取次が出ると橋本は花野さんに御目にかかりたいと云....
耳香水」より 著者:大倉燁子
て行きました。出迎えの女中の態度で、この家の奥様であることを私はたしかめました。表札を見て、始めて彼女が何人であるかを知りました。それはK夫人だったのです。 ....