»
表構
「表構〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
表構の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
辿り着いて、ふたりは縁台に腰をかけました。家のうしろには葡萄園があるそうですが、
表構えは茶店のような作り方で、ここでは登山者に無代で梅酒というのを飲ませます。喉....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
前と比べて特に目立つほどの著しい変化は見られない。路面がアスファルトになったり、
表構えだけの薄っぺらな洋式建物が多くなったり、カッフェーやメリンス屋が多くなった....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
だったわ。」と、思わずはずんだ声を上げてしまった。 周囲が周囲だけに、モダンな
表構えの家が、劃然と目に立っていた。見るからに、南欧風の明るく小ぢんまりした構え....
「握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
をもって唖然たらしめるものがあり、高級寿司屋を説明して余りあるものがある。しかし
表構えはただ「久兵衛」と書いてあるのみ、寿司屋ともなんとも表現していない。なに知....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
というような態度を見せた。そういう態度が京一郎には、床しく思われてならなかった。
表構えは粋であり、目立たぬ様子に作られてあったが、家の内は随分|豪奢であり、それ....
「雷門以北」より 著者:久保田万太郎
堅い、つつましい、謙遜な、いえばおのずからそれが江戸まえのくろ塀をめぐらしたその
表構えが「古い浅草」のみやびと落ちつきとをみせていた。そこの石だたみだけつねにし....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
ことでございますが、其の中に春見屋という宿屋を出しましたのが春見丈助という者で、
表構は宏高といたして、奥蔵があって、奉公人も大勢使い、実に大した暮しをして居りま....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
った。絵草紙や駄菓子などを売っていそうな家の前で、煤けた戸が立ててあった。頑丈な
表構えの隣家との間に、漸く人がはいり込める位の狭い路次があった。お清は周平の肩か....
「寄席行灯」より 著者:正岡容
があったけれど、ほんとうにそうした慎しやかな中に何ともいえない艶気を含んだ古風の
表構えだった。 が――中入近くに入って行ったその寄席の高座ではフロックを着たノ....
「黄昏」より 著者:宮本百合子
るのだ」ちらりと一言耳に挾んだだけで、彼女は、この、恐らくあまり大きくない旅館の
表構えの様子まで、まざまざと目に浮んで来るような心持がした。 「何をしに東京へ出....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ある。と、床下へ向って深く、石の段がおちこんでいる。 二人の影がそこへ消えた。
表構えを釘づけにしてあるとみせて、周馬は、たえずここから出入りしているものらしく....