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衰え
「衰え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
衰えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
るった。何度それを繰り返したか、わからない。しかし、そのうちに、腕の力が、次第に
衰えて来たのであろう、打つ太刀が、一太刀ごとに重くなった。今では踏む足さえ危うく....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
たが、向うの、袖垣《そでがき》の外に植えた木犀《もくせい》は、まだその甘い匂いが
衰えない。そこへ例の鳶《とび》の声がはるかな青空の向うから、時々笛を吹くように落....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
は、あなたの御恵みに違いありません。ただわたしの体を捨てる、吐血《とけつ》の病に
衰え果てた、骨と皮ばかりの体を捨てる、――それだけの覚悟をしさえすれば、わたしの....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
める役に立ったのであろう。しかしそれよりも、主《おも》な原因は、あの女の容色が、
衰えていると云う事だった。実際今の袈裟は、もう三年前の袈裟ではない。皮膚は一体に....
「女」より 著者:芥川竜之介
ん》してしまった。が、蜘蛛は――産後の蜘蛛は、まっ白な広間のまん中に、痩《や》せ
衰えた体を横たえたまま、薔薇の花も太陽も蜂の翅音《はおと》も忘れたように、たった....
「或る女」より 著者:有島武郎
《そし》らぬふりをしたのに葉子は気がついていた。そして葉子に対する乗客の好奇心が
衰え始めたころになって、彼は本気に葉子を見つめ始めたのだ。葉子はあらかじめこの刹....
「或る女」より 著者:有島武郎
在に描こうとした。そして倉地を自分の力の支配の下《もと》につなごうとした。健康が
衰えて行けば行くほどこの焦躁のために葉子の心は休まなかった。全盛期を過ぎた伎芸《....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
のものだった。たった半日の中《うち》にこうも変るかと疑われるまでにその小さな物は
衰え細っていた。仁右衛門はそれを見ると腹が立つほど淋しく心許《こころもと》なくな....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
なり、私たちは近所の旅館に宿を取って、そこから見舞いに通った。一時は病勢が非常に
衰えたように見えた。お前たちと母上と私とは海岸の砂丘に行って日向《ひなた》ぼっこ....
「親子」より 著者:有島武郎
そうになった。父は苦々しげに彼を尻目にかけた。負けじ魂の老人だけに、自分の体力の
衰えに神経をいら立たせていた瞬間だったのに相違ない。しかも自分とはあまりにかけ離....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
う渦の外の方の部分へ粒子を送り出すことができなくなるので、従ってこの渦動が次第に
衰える。すると今までは灼熱した地球から出る粒子のために押戻されていた近所の他の渦....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
ない……何が何やら自分にもけじめのない、さまざまの妄念妄想が、暴風雨のように私の
衰えた躰の内をかけめぐって居るのです。それにお恥かしいことには、持って生れた負け....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
ァラデー自身が説教をしたこともある。 一八三九年の終り頃からファラデーの健康は
衰えて来て、初めには物忘れがひどくなり、その後は時々|眩暈を感ずるようになった。....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
ことは出来なかった。それがこの聖水かけの老人の心をくるしめだしたので、彼は自分の
衰えた記憶を助けてもらう積りで、女房も自分と一しょに教会へ来させた。 ある日の....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
なり。 引き寄せては引かれ、寄せては引かれ、数回くり返せども、敵の力は、少しも
衰えず。其の引き去るに当りては、一気直に海洋まで逸し去らんとするものの如く、綸の....