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袋の鼠
「袋の鼠〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
袋の鼠の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
に、整然たる警戒網が張りまわされた。こうなれば如何に戦慄すべき魔神なりとも、もう
袋の鼠同様だった。 「赤星ジュリアは、ちゃんと居るのかい」 と、雁金検事は入口....
「地中魔」より 著者:海野十三
ときのことだった。突然に彼の頬を、一陣の生温い風が、スーッと撫でた。 「おやッ」
袋の鼠か? (なんだろう?) 三吉は懐中電灯をパッと照らしてみた。するとそこに....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
る。 韮山城が容易に陥ちないと定ると、秀吉は一部の兵を以て持久攻囲の策をとり、
袋の鼠にして置いて、全軍を以て愈々小田原攻撃の本舞台に乗り出した。 ....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
を指さした。「高取! もっとしッかり麻袋にドロをつめる!」 「特務曹長殿! この
袋の鼠の喰った穴はどうするんでありますか。藁を丸めてつめて置きましょうか?」 「....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ながら、その日の来るのを一日千秋の思いで待ち焦れていた。 流石不敵の支倉も今は
袋の鼠同様になった。水も洩らさぬ警察の網の手は次第に狭められて彼の縛につく日も遠....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
話をして聞かした。旅順の方面については、海陸ともにひしひしと押し寄せて、敵はもう
袋の鼠になってしまったから、こっちのほうは遼陽よりも早く片づくはずである。「来月....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
当って居る下新田城や師山《もろやま》城や桑折《くわおり》城やの敵城に策応されて、
袋の鼠《ねずみ》の如くに環攻され、総大将たる小山田筑前は悪戦して死し、全軍殆んど....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
なに鴨の宮の方の入口も、あれと同時に爆発して完全に閉じてしまったのです。化け物は
袋の鼠です。もうなかなか出られやしません」と白木警部は一人で感心していました。 ....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
かに出口はない。リット少将もスミス中尉もピストルを持っているだろう。とすると遂に
袋の鼠となりはてたのか。 (捨身だ!) とっさに肚をきめた川上機関大尉は、 「....
「計略二重戦」より 著者:甲賀三郎
感謝しませんか」 仁科少佐はきっと唇を噛みました。ああ、何たる卑劣漢! 少佐が
袋の鼠で、どんな事があっても逃げ出せないと知って、わざと弄る為に、秘密書類のあり....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
る。片方は大河で遮られているから、この一方口へ逃れるほかには逃げ道はなく、まるで
袋の鼠といった形……振り返れば、諏訪町、黒船町は火の海となっており、並木の通りを....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
「古土タダアゲマス」屋根に書いて破目に打付けてあるその露地へ入って行った女は白足
袋の鼠色になった裏がすっかり見えるように吾妻下駄の上でひっくらかえす歩き方を繰り....
「水晶の栓」より 著者:新青年編輯局
っしゃい』 ルパンは今までにこんな忌々しい屈辱な目にあった事が無かった。まるで
袋の鼠同様の憂目、這々の体たらくである。しかもこれに対してどうする事が出来ようか....
「墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
「ありがとうございました、これで僕の推定がいっそう確かになりました。もう犯人は
袋の鼠も同様です」 小田刑事は驚いて、俊夫君の顔を見ました。 「え? それでは....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
査等は勝に乗って追い詰めると、穴は漸く広くなった。ここが恐く行止りで、彼等は今や
袋の鼠になったろうと思いの外、何処を何う潜ったか知らず、漸次に跫音も消えて了って....