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袋戸棚
「袋戸棚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
袋戸棚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
分は坂をなし、ほとんど記憶できぬほど曲折の限りを尽して、最後に左に曲ると、そこは
袋戸棚のような行き詰りになっていた。そして、そこにも魔王バリの面が発見された。あ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
雨が朝から降り出して、風の方角も北から西に変わった。本陣の奥座敷では床上がもり、
袋戸棚へも雨が落ちた。半蔵は自分の家のことよりも村方を心配して、また町内を見回る....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
。 「暮田さん、あなたにお目にかけるものがある。」 と言って、半蔵は一幅の軸を
袋戸棚から取り出した。それを部屋の壁に掛けて正香に見せた。 鈴の屋翁画詠、柿本....
「縮図」より 著者:徳田秋声
で、総桐の箪笥が三|棹も箝め込みになっており、押入の鴨居の上にも余地のないまでに
袋戸棚が設われ、階下の抱えたちの寝起きする狭苦しさとは打って変わって住み心地よく....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
晴らしのいい露台もあって、二階と三階に四つか五つずつある畳敷きの部屋も、床の間や
袋戸棚も中へくり取ってあり、美しい装飾が施されてあった。ある教育家の子息が薬局の....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
ないから、寝しなに呷ろうと思って、それにも及ばず、ぐっすり寐込んだのが、そのまま
袋戸棚の上に忍ばしてある事を思い出したし、……またそうも言った。――お澄が念のた....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
来た連中からだんべい。 お客様何でがすか、お前様、子守唄|拵えさっしゃるかね。
袋戸棚の障子へ、書いたもの貼っとかっしゃるのは、もの、それかね。」 明は恥じた....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
く見えた、鬼薊が投込んである。怪しからん好みでしょう、……がそれはまだ可い。傍の
袋戸棚と板床の隅に附着けて、桐の中古の本箱が三箇、どれも揃って、彼方向きに、蓋の....
「落ちてゆく世界」より 著者:久坂葉子
ない方がいいだろう。貴金属屋の方が……」 「では今日中に」 私は渋々立ち上り、
袋戸棚から重い鉄の鍵を出して土蔵を開けました。ぎいっと大きな戸をあけると、かびく....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
首をかしげていたが、そのまま箪笥の方に歩いて行って、開いている抽斗は無論のこと、
袋戸棚から小抽斗に至るまで、引っかきまわした。 俊亮は、その間、默然と坐って腕....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
」と云ったが小堀義哉は、にわかに興味に捉えられた。 で、立ち上って隣室へ行き、
袋戸棚の戸をあけて、杉の手箱を取り出して来た。それから仔細に調べたが、 「この箱....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ず、一、二年の間にすっかり見忘れたのも道理です、お写真などもなかったのですから。
袋戸棚から紙入を出して、懐にお入れになったのを私は見たのです。 今まで広いとこ....
「歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
がる。こんなに早く来やがって。――」 のこのこと床から這い出した歌麿は、手近の
袋戸棚を開けると、そこから、寛政六年に出版した「北国五色墨」の一枚を抜き出した。....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
―可心という金沢の俳人の(能登路の記)というのを偶然読みました。 寝床の枕頭、
袋戸棚にあったのです。色紙短冊などもあるからちと見るように、と宿の亭主が云ったも....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
えて寝に行きました。木戸があって玄関まであって室数が七ツばかり、十畳敷の座敷には
袋戸棚、床の間づき、時代にてらてら艶が着いて戸棚の戸なんぞは、金箔を置いて白鷺が....