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「被う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

被うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十二支考」より 著者:南方熊楠
処の兎狩専門の人に聞くと兎は子を生むとたちまち自分の腹の毛を掻きむしりそれで子を被うと言った。牛が毛玉を吐く例などを比較してこの一事から子を吐くと言い出たのだろ....
画の悲み」より 著者:国木田独歩
悪はともかく、先ずこの一事で自分は驚いてしまった。その上ならず、馬の頭と髭髯面を被う堂々たるコロンブスの肖像とは、一見まるで比べ者にならんのである。かつ鉛筆の色....
鏡餅」より 著者:宮本百合子
て、痛々しかった。 サワ子が、それを見て、 「あれ」 と羽織の袖口で口のはたを被うような恰好をした。 「どうしてまたそんなになるんだろ……」 サエは、 「毎....
今朝の雪」より 著者:宮本百合子
鮮に凍ってチカチカ燦く雪の肌と、その上に落ちている藍色の影とは峯子に、遠い曠野を被う雪の森厳な起伏と、這う明暗とを想わせた。 峯子の婚約者の塚本正二は出征して....
五ヵ年計画とソヴェトの芸術」より 著者:宮本百合子
れもこれも、農村の集団化に際しての労働者農民の結合的活動とともに、旧勢力の罪悪を被うところなく摘発している。 映画「大地」(ドブジェンコ)は勝れたカメラの技術....
科学の常識のため」より 著者:宮本百合子
れている。氷河が太古に地球の半を包んだように、何千万年かの後にはまた地球をひろく被うようになるかもしれない。しかし、そうなれば、人間は南へ移住することができる、....
雨と子供」より 著者:宮本百合子
のないところなど一つもなかった。木が生えていなければ、きっと青々草が生えて地面を被うている。それだのに、たった一箇所、雑草も生えていなければ木もなくむき出しのと....
悲しめる心」より 著者:宮本百合子
踊りの絵屏風をさかしまに悲しく立て廻した中にしなよく友禅縮緬がふんわりと妹の身を被うて居る。 「常日頃から着たい着たいってねえ云って居た友禅なのよ華ちゃん、今....
お久美さんと其の周囲」より 著者:宮本百合子
ヤとささやかな葉ずれの絶えずする玉蜀黍がズーッと一列に並んで、薯や何かの低い地を被うて居る作物の上には銀粉を散らした様な細まやかな閃きが躍って居る上をフンワリと....
大いなるもの」より 著者:宮本百合子
を探《さぐ》り入って見た時に、未だ若く、歓《よろこび》に酔うて居る私共でさえ面を被うて、たよりない涙に※ぶ様になる程であるか。 私は静かに目を瞑って想う。 ....
陳情書」より 著者:西尾正
を果したに過ぎません。其の労働部屋は四畳半で、枕許には桃色《ピンク》のシェエドを被うたスタンド・ランプが仄かな灯を放ち、薄汚ない壁には、わたしゃあなたにホーレン....
九代目団十郎の首」より 著者:高村光太郎
鼻の両側に流れる微妙な肉、そして更に下顎に及ぶ間延びのした大顴骨筋と咬筋とそれを被う脂肪と、その間を縫うこまやかな深層筋の動きとは彼の顔に幽遠の気を与え、渋味を....
」より 著者:マクラウドフィオナ
者を葬った小さな青い土の山が二つあるように見えた。彼女はその美しさよりほかに身を被う物は持たなかった、月光が上衣のようにその身のまわりにはあったが。 「青い木の....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
リンチェン・ナーンガ(五宝布)即ち青黄赤白黒の段だら織になって居る羊毛布をもって被うて居るです。だからその顔はどんなのか見ることができない。そうしてダータル(吉....
文妖伝」より 著者:田中貢太郎
客は五十前後の顔の赧黒く脂やけにやけた、金縁の眼鏡をかけた男で、ずんぐりした体を被うた焦茶のマントの下から地味な縦縞の大島のそろいを覗かしていた。客は野本天風と....