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被布
「被布〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
被布の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
した。と、斜に新蔵と向い合った、どこかの隠居らしい婆さんが一人、黒絽《くろろ》の
被布《ひふ》の襟を抜いて、金縁の眼鏡越しにじろりと新蔵の方を見返したのです。勿論....
「星座」より 著者:有島武郎
るうちに、母は支度をすまして茶の間にはいってきた。いつものとおり地味すぎるような
被布を着て、こげ茶のショールと診察用の器具を包んだ小さい風呂敷包とを、折り曲げた....
「外科室」より 著者:泉鏡花
》よき婦人《おんな》二、三人と、廊下の半ばに行き違えり。 見れば渠らの間には、
被布着たる一個《いっこ》七、八歳の娘を擁しつ、見送るほどに見えずなれり。これのみ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
にそこから、扉を開けて、小児を迎え入れたので、さては乳母よ、と見ると、もう一人、
被布を着た女の子の、キチンと坐って、この陽気に、袖口へ手を引込めて、首を萎めて、....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
を訊きただした上で、客間に招じて逢ってみた。 春子女史は、薄もので拵えた真黒の
被布に、下にはやはり黒っぽい単衣の縞もの銘仙を着た小柄の人物で、すこし青白い面長....
「絵本の春」より 著者:泉鏡花
肥っていても、湯ざめがするよ。――もう春だがなあ、夜はまだ寒い。」 と、納戸で
被布を着て、朱の長煙管を片手に、 「新坊、――あんな処に、一人で何をしていた?…....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
です。」 なふだに医学博士――秦宗吉とあるのを見た時、……もう一人居た、散切で
被布の女が、P形に直立して、Zのごとく敬礼した。これは附添の雑仕婦であったが、―....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
て、腰を掛けていた、土耳古形の毛帽子を被った、棗色の面長で、髯の白い、黒の紋織の
被布で、人がらのいい、茶か花の宗匠といった風の……」 半ば聞いて頷いた。ここで....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
とんと早や、影法師も同然なもので。」と掠れ声を白く出して、黒いけんちゅう羊羹色の
被布を着た、燈の影は、赤くその皺の中へさし込んだが、日和下駄から消えても失せず、....
「露肆」より 著者:泉鏡花
な坊様で。 つくねんとして、一人、影法師のように、びょろりとした黒紬の間伸びた
被布を着て、白髪の毛入道に、ぐたりとした真綿の帽子。扁平く、薄く、しかも大ぶりな....
「兄妹」より 著者:岡本かの子
いた。上質の久留米絣の羽織と着物がきちんと揃っていた。妹は紫矢絣の着物に、藤紫の
被布を着ていた。 三月の末、雲雀が野の彼処に声を落し、太陽が赫く森の向うに残紅....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
めて何となく、隣家のでもあるか蚊遣の煙の薄りと夏の夕を染めたる中へ、紗であろう、
被布を召した白髪を切下げの媼、見るから気高い御老体。 それともつかぬ状で座敷を....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
骨に、火鉢を押して乗出した膝が、襞※捩れの黒袴。紬だか、何だか、地紋のある焦茶の
被布を着て、その胡麻塩です。眉毛のもじゃもじゃも是非に及ばぬとして、鼻の下に薄髭....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
高帽を脱いで、胡麻塩のちょぼりとした髯を扱きながら、挨拶したのは、べんべらものの
被布を着て、煤くすぶりの総の長い中位な瓢箪を提げている。「御先生様。」「はい、大....
「美人鷹匠」より 著者:大倉燁子
た若い女が、きりりとした身拵えで立っていた。故意とだろう、古風な装いをして、紫|
被布なんか着て、短かく端折った裾から浅黄色の足袋をのぞかせ、すっきりとしたいい姿....