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袴腰
「袴腰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
袴腰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「笑う唖女」より 著者:夢野久作
ると、玄関の式台へ泥足のまま駈け上って、栗野博士を突除《つきの》けながら、澄夫の
袴腰《はかまごし》にシッカリと抱き付いた。同時に「アッ」と小さな声を立てた花嫁の....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
でのおりも、未だお部屋住ゆえ大したお供ではございませんが、權六がお供をして上野の
袴腰を通りかゝりました時に、明和三年正月も過ぎて二月になり、追々梅も咲きました頃....
「大衆文芸作法」より 著者:直木三十五
っていてくれ」と、手拭をとる。 「ええ、ごゆっくり」 お蝶はニッコとしながら、
袴腰の若衆すがたで、何もかも打解けた世話女房のように、あたりの物を片づけます。 ....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
わされて、空を斬りながら、つンのめって、蔽いかぶさるようになった所を、その若者の
袴腰《はかまごし》に左手《ゆんで》をかけて、軽く突くと、
「アッ!」
と、あわ....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
住吉の式に連る事をしなかった。 間際に人が欠けては事が済まぬ。 世話人一同、
袴腰を捻返して狼狽えたが、お珊が思うままな金子の力で、身代りの婦が急に立った。 ....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
帽子折を思わるるがいい。早い処は、さようなお方は、恋人に羽織をきせられなかろう。
袴腰も、御自分で当て、帽子も、御自分で取っておかぶりなさい。 五 ....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
る。とはいえ、人品にはよく似合った。 この人が、塩瀬の服紗に包んだ一管の横笛を
袴腰に帯びていた。貸本屋の女房がのっけに、薦僧と間違えたのはこれらしい。……ばか....
「蠹魚」より 著者:宮本百合子
本を読みでもしたかと思われる。彼は、木綿の「裾細《すそぼそ》」(もんぺいのようで
袴腰のついているもの)をはいて、膝位まである雪を踰《こ》え、友達の処へでもゆき、....
「菊人形」より 著者:宮本百合子
った。スカートは袴の伝統をもって、きちんとたたんで襞をつけられ、バンドのうしろは
袴腰の趣味で白細紐の飾りつきだった。 わたしには、メリンス絣の改良服が一つあっ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
茶袋というのは、幕府がこのごろ募集しかけた歩兵のことで、筒袖《つつそで》を着て
袴腰《はかまごし》のあるズボンを穿《は》いているからそれでそう言ったもので、あん....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
惨な死骸を見ると、もう嫌な気がして引っ返しました。広小路一帯は今日とは大分違い、
袴腰がもっと三枚橋の方へ延び、黒門と
袴腰の所が広々としていた。山下の方には、大き....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
が。 「近視の伜が遣りそうな事だわい。不埒ものめが。……その女は、そりゃ何だ。」
袴腰に両腕を張って覗込む、運八翁に、再び蒼白い顔を振上げた。 「門附芸人です、僕....
「雪の武石峠」より 著者:別所梅之助
大観をたのしむほどのゆとりに乏しい。滑らじと足ふみしめて、杖を大事につきたてる。
袴腰をも脱した。道はますます楽になった。うちむかう連峰の白と紫とは、薄墨色にかわ....
「古陶磁の価値」より 著者:北大路魯山人
ものが実に立派に出来ております。内容も相当によい、色もよい、そこで青磁の御承知の
袴腰のこういう香炉がありますが、そういうようなものは今日五万、十万、二十万という....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
女の手がよろこびにふるえながら周馬の死骸を探った。まだ体温のある胸、胴巻、背中、
袴腰……はては脚絆の紐までといて検めたが、どうしたのだろう? 目的の秘帖はどこか....