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裁ち
「裁ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裁ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「春の盗賊」より 著者:太宰治
も捜し当てたからには、逃がすものか、ぎゅっとひっ捕えて、あわてて自分のふところを
裁ち割り、無理矢理そのふところの傷口深く、睡眠の煙を詰め込んで、またも、ゆらゆら....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
じゃないか。何か、お前んとこに裁《た》ちぎれがあるじゃろうが……」 「そりゃあ、
裁ちぎれは探せばありますよ、布きれは見つかりますがね、」とペトローヴィッチが言っ....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
んだ。かれらは木の皮をもって衣服を織り、草の実をもって五色に染めたが、その衣服の
裁ち方には尾の形が残っていた。盤瓠が死んだ後、少女は王城へ帰ってそれを語ったので....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
のです。どうして僕が、その時の、恐怖の色を見|遁しましょうか」と鋭く中途で言葉を
裁ち切りながら、法水の顔が慄然たるものに包まれていった。
「いや、僕の方こそ、も....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、ありゃこりゃに人の前にすえた膳は「えびす膳」、四角であるべきところを四角でなく
裁ち合わせた紙は「えびす紙」、元来外用の薬種とされた芍薬が内服しても病のなおると....
「足迹」より 著者:徳田秋声
金を持って帰って来ると、ようやく諸払いを済まして、お庄兄弟のためにも新しい春着が
裁ち縫いされ、下駄や簪も買えた。お庄らは田舎から持って来た干栗や、氷餅の類をさも....
「街」より 著者:宮本百合子
内散歩を繰返えすと、ダーリヤは、窓の前の卓子へ戻った。その辺の畳へ、細かい羅紗の
裁ち屑が沢山散らばっていた。彼女はさっきまで子供外套の裁断をしていたのだ。産科医....
「朝の風」より 著者:宮本百合子
がその前に坐って頻りに何か布をいじりながら相談している。奥いっぱいにひろげられた
裁ち板の前で歯入れやの神さんは、大柄で体に或る権威を湛えながら、対手をしている。....
「我に叛く」より 著者:宮本百合子
もいらっしゃい。――だが、まあよく来る気になったものね」 彼女は、夕闇の中で、
裁ち物を片よせながら、嬉しさから罪のない陽気で、娘を揶揄《からか》った。 「それ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
人をおきあてた家は、一つのよい見てくれを世間に持つ事になるのだ。一般に、染めや、
裁ち縫いが、家々の顔見合わぬ女どうしの競技のように、もてはやされた。摺り染めや、....
「蓮」より 著者:豊島与志雄
に掛けて、いろんな果物や野菜の類を供える。その後で、女の子は、色紙で小さな衣服を
裁ち、男の子は、色紙の短冊に勝手な文句を書きちらし、それを青笹の枝に吊して、縁先....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
院長で有徳の法官、後者は有名なる園囿設計家――法院長と園丁とが)、その庭をゆがめ
裁ち切り皺《しわ》をつけ飾り立てて情事に適するように仕立て上げていたが、自然はそ....
「女心の強ければ」より 著者:豊島与志雄
事の机、針箱、訳のわからぬいろんな小道具、柳甲李など。その甲李の中に、さまざまな
裁ち布が一杯、各種の色彩を氾濫濫」]さしている。その小布から手頃なのを選り取って....
「書記官」より 著者:川上眉山
仕立てろとおっしゃって、そのままにして家へ置いて来た父様のお羽織なんぞは、わざと
裁ち損って疵だらけにして上げるからいいわ。それからその前お茶の手前が上がったとお....
「馬琴の小説とその当時の実社会」より 著者:幸田露伴
大腹中の人には、馬琴の小説はイヤに偏屈で、隅から隅まで尺度を当ててタチモノ庖丁で
裁ちきったようなのが面白くなくも見えましょうが、それはそれとして置いて、馬琴の大....