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「裂ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

裂けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
魔術」より 著者:芥川竜之介
ふち》へ赤く花模様を織り出した、派手《はで》なテエブル掛でさえ、今にもずたずたに裂けるかと思うほど、糸目が露《あらわ》になっていました。 私たちは挨拶をすませ....
」より 著者:芥川竜之介
と思うと、「武男《たけお》さんに御別れなすった時の事を考えると、私は涙で胸が張り裂けるようでございます」と書いてある。果然お君さんはほとんど徹夜をして、浪子夫人....
或る女」より 著者:有島武郎
界《さかい》から救い出された人のように、驚喜に近い表情を顔いちめんにみなぎらして裂けるほど目を見張って、写真を持ったまま飛び上がらんばかりに突っ立ったが、急に襲....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
々と寝て、密と薄目を※くと、そこにうとうとしていた老人の顔を伺った、と思えば、張裂けるような大欠伸を一つして、 (お、お、しんど)と言って、のさりと立った。 ....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
を離そうとして、必死に振りきった。べりべりッという厭やな音がして、学士の洋服が引裂けると、右腕が急に自由になった。 (こうなると、こっちのものだ) そう思った....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
なものが、避難民の頭上に降ってきた。 「ウ、ウ、グわーン、グわあーン」 大地が裂けるような物音が、あちらでも、こちらでもした。それは、ひっきりなしに、米軍が投....
火星探険」より 著者:海野十三
って、外をのぞいた。 「おやっ、たいへんだ。皆早く来い……」 河合はのどが張り裂けるほどの声で、仲間をよんだ。ふだん沈着な彼は、一体何におどろいたのだろうか。....
火葬国風景」より 著者:海野十三
気を感じなかったことが判った――このパッと差し込んだ明るさと、パチパチと物の焼け裂けるような音響とは、八十助に絶望を宣告したも同様だった。彼の脳裏には、始めてこ....
」より 著者:海野十三
を吐いた。 そのときだった。 紫電一閃! 呀っと叫ぶ間もなく、轟然、地軸が裂けるかと思うばかりの大音響と共に、四郎の乗っている櫓は天に沖する真赤な火柱の中....
古狢」より 著者:泉鏡花
、銅の鍋は一つ一つ、稲妻に似てぴかぴかと光った。 足許も定まらない。土間の皺が裂けるかと思う時、ひいても離れなかった名古屋の客の顔が、湯気を飛ばして、辛うじて....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
。……そうかと言って、こう張っちゃ、身も皮も石になって固りそうな、背が詰って胸は裂ける……揉んでもらわなくては遣切れない。遣れ、構わない。」 と激しい声して、....
黒百合」より 著者:泉鏡花
髪とが、わななくのを見た。この一雫が身に染みたら、荒鷲の嘴に貫かれぬお雪の五体も裂けるであろう。 一言の答えも出来ない風情。 少年も愁然として無言で居たが、....
アグニの神」より 著者:芥川竜之介
を呼びかけながら、全身の力を肩に集めて、何度も入口の戸へぶつかりました。 板の裂ける音、錠のはね飛ぶ音、――戸はとうとう破れました。しかし肝腎の部屋の中は、ま....
杜子春」より 著者:芥川竜之介
まうぞ」 神将は戟を高く挙げて、向うの山の空を招きました。その途端に闇がさっと裂けると、驚いたことには無数の神兵が、雲の如く空に充満ちて、それが皆|槍や刀をき....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
峰を、孫のために拝んだ、小児も小さな両手を合せた。この時の流の音の可恐さは大地が裂けるようであった。「ああ、そうとは知りませぬ。――小児衆の頑是ない、欲しいもの....