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裂け目
「裂け目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裂け目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
った、水がどろりと流れそうに、黄いろくなめらかに、むくんでいる。ことに、むしろの
裂け目から、天日《てんぴ》のさしこんだ所で見ると、わきの下や首のつけ根に、ちょう....
「富士」より 著者:岡本かの子
のでした」 西の海を越えて、うねって来た二つの大きな山の脈系、それは島山の胴の
裂け目を界にして南北に分けられる。そのおのおのには、内側のものと外側のものとの脈....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
は、日がいち早く蝕まれるこの気味悪いさびしさは想像がつくまい。ニセコアンの丘陵の
裂け目からまっしぐらにこの高原の畑地を目がけて吹きおろして来る風は、割合に粒の大....
「地球盗難」より 著者:海野十三
思ったのである。彼は草叢からコソコソと匍いだしては樹の上に登り、或いは大きな巌の
裂け目に入ったりして、愛用の望遠鏡の力を借りて邸内のあらゆる建物やあらゆる地形を....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
発見した。 ところがはからずもわたしは、おなじ岩の上で、わたしの足元から、岩の
裂け目をクネクネと伝わって、一本の太い綱が、波打ち際から海の中へ浸っているらしい....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
っている蜜をすすってわずかに飢えを凌いでいながら、どこにか昇る路はないかと、石の
裂け目を攀じてゆくと、そこに一つの穴があった。 穴は深く暗く、その奥に蛟か蟒蛇....
「人造人間の秘密」より 著者:海野十三
うな。この際に、ひとをからかうもんじゃない」 ハンスは、扉をこわすのをやめて、
裂け目の向こうで、ふうふう一と息をついている。夜光時計をみると、ちょうど午前三時....
「大空魔艦」より 著者:海野十三
をはじめた。 「あっ、空魔艦の腹から、なにか黒いものがとびだしたぞ」 と天幕の
裂け目から望遠鏡で空をのぞいていた隊員の一人が叫んだ。 「そうか。それは爆弾だぜ....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
帯感電器をもっていらっしゃる。あの強烈な電気に相当参っているところへ、あの硝子の
裂け目へつっかかったんで、二重の弱り目に祟り目で、沼の中へ落ちこんだまま、匍い上....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
っているだけのことでうつらうつらとしていた。何度目かに目が覚めたとき、トタン板の
裂け目から暁の光りがほんのりと白く差しこんでいるのに気がついた。 彼は改めて寝....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
よりもぞっとするような、根強いものであった。 そのとき私は、ささくれ立った床の
裂け目から何だか奇怪な物凄いような煙りが立ち昇って来て、人間には有害でありそうな....
「故郷」より 著者:井上紅梅
の覚えていた赤く丸い、ふっくらしたものではなく、荒っぽくざらざらして松皮のような
裂け目があった。 わたしは非常に亢奮して何と言っていいやら 「あ、閏土さん、よ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
風である。思うに、氷はきのうよりも密なるべし。見渡すかぎり白皚皚、まれに見る氷の
裂け目か、氷丘の黒い影のほかには、一点のさえぎるものなき一大氷原である。遙か南方....
「人体解剖を看るの記」より 著者:海野十三
が、縦に立ち切られたのであった。 医師はそこでメスを置いた。そして、頭部の皮の
裂け目に手をかけて、蟇口をあけるようにサッと前後へ剥がした。その下から、白い頭蓋....
「唇草」より 著者:岡本かの子
をぺちゃんと圧し潰し、小さい鼻から目の醒めるような青い匂いを吸い込みながら、莢の
裂け目へ右の指先を突き入れると、彼女の指先になまなましい柔かいものが触た。彼女は....