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「裂罅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

裂罅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高山の雪」より 著者:小島烏水
物質になって、その通過する地床の傾斜に、少しでも変化があれば、氷雪はそれに応じて裂罅《れっか》を作ること、渓流の「渦巻き」が、いつ見ても一つところに、居据《いす....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
在は永遠の闇が覆うであろう。いよいよ没落してしまうまでにはその火焔は幾度か新しい裂罅を開いて再び復活しようとあせり、多分幾度かは持ち直すこともあるであろう。これ....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
者があったのだ。そして、中途にある、十二宮の円華窓に細工して、あの楽玻璃めいた、裂罅を塞いでしまったのだよ」と法水は峻烈な表情をして、再び二人の意表に出た。ああ....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
もいえない美しさに染んでゆくのだ。裂け目や条痕の影が一時に浮きあがり、そこに氷河裂罅のような微妙な青い色がよどんでいる。淡紅色の胎内……、そこを這いずる無数の青....
旅日記から」より 著者:寺田寅彦
の峰は紫から朱にぼかされて、この世とは思われない崇厳な美しさである。紅海は大陸の裂罅だとしいて思ってみても、眼前の大自然の美しさは増しても減りはしなかった。しか....
鐘に釁る」より 著者:寺田寅彦
た場合が多いようであるが、しかしとにかく、一書には鐘を鋳た後に羊の血をもってその裂罅に塗るという意味に使われているそうである。孟子にはそれが牛の血を塗ることにな....
自然界の縞模様」より 著者:寺田寅彦
りこれらと連関して徹底的に研究さるべき題目であろう。 岩石に関してはまだ皺襞や裂罅の週期性が重要な問題になるが、これはまた岩石に限らず広く一般に固体の変形に関....
神話と地球物理学」より 著者:寺田寅彦
のは、噴火の間歇性を暗示する。「それが目は酸漿なして」とあるのは、熔岩流の末端の裂罅から内部の灼熱部が隠見する状況の記述にふさわしい。「身一つに頭八つ尾八つあり....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
の生命は全一ではないのだ。分裂してるのだ。知識と情意とは相背いてる。私の生命には裂罅がある。生々とした割れ目がある。その傷口を眺めながらどうすることもできないの....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
rift”ではないのか。つまり、壺形をした渓という意味で、上部は、子安貝に似た裂罅状の開口。しかし、内部は広くじつに深く、さながら地軸までもという暗黒の谷がこ....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
没した骨折もなく、砕片も見当らない。創傷を中心に細い朱線を引いて、蜘蛛糸のような裂罅が縫合部を蜒り走っているが、何れも左右の楔状骨に迄達している。そして、流血が....
烏の北斗七星」より 著者:宮沢賢治
をやり、水車の心棒がキイキイ云います。 とうとう薄《うす》い鋼の空に、ピチリと裂罅《ひび》がはいって、まっ二つに開き、その裂《さ》け目から、あやしい長い腕《う....
一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
の真下辺りで、二ノ沢の落込む少し上で、雪渓はくびれたようになって幅一|米半ほどの裂罅が雪渓を上下に切り裂いている。 自分たちは、是非奥の壁に近づいて見たいと思....
雪雑記」より 著者:中谷宇吉郎
授がグリーンランドで一冬|過《すご》した時に、あの全島を蔽《おお》っている氷山の裂罅《クレバス》の底で、洋酒のコップ型の結晶を見付けたことがある。しかもそのコッ....
釜沢行」より 著者:木暮理太郎
いるのが眼に入る許りで、水は何処をどう流れて来るのか皆目分らない。それで初は岩の裂罅から地下水が迸り出ているのではないかと想った。然しよく視ると此谷らしくはない....