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裏手
「裏手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裏手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
休暇になった当座で、ある夕方私が散歩かたがた、本願寺別院《ほんがんじべついん》の
裏手にある本屋の店先を覗いて見ますと、その頃評判の高かった風俗画報と申す雑誌が五....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
ね》を焼かれながら、悲鳴を挙げて飛び起きると、無我夢中に高這《たかば》いをして、
裏手の方へ逃げ出そうとした。
怒り狂った素戔嗚は、まるで傷《きずつ》いた猪《い....
「保吉の手帳から」より 著者:芥川竜之介
話した。――つい二三日前の深更《しんこう》、鉄盗人《てつぬすびと》が二三人学校の
裏手へ舟を着けた。それを発見した夜警中の守衛《しゅえい》は単身彼等を逮捕《たいほ....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
隣家の車屋の屋根へ続いた物干。一跨ぎで出られる。……水道尻まで家続きだけれども、
裏手、廂合が連るばかり、近間に一ツも明が見えぬ、陽気な座敷に、その窓ばかりが、は....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
ばみがぺろぺろ赤い舌を出し、この家のうちを狙って巻きつくかのような思いをもって、
裏手へまわった。
裏手は田圃である。ずッと遠くまで並び立った稲の穂は、風に靡い....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
面のしようがないので、お伽堂へ大刀さ。 三崎町の土手を行ったり来たり、お伽堂の
裏手になる。……なまじっか蘆がばらばらだから、直ぐ汐入の土手が目先にちらついて、....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
のが、入れ違いまする煙の色も荒海を乗越すためか一際濃く、且つ勇ましい。 茶店の
裏手は遠近の山また山の山続きで、その日の静かなる海面よりも、一層かえって高波を蜿....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
今でも爺さんが時々お籠をするという庵がございますって。そこは貴方、府中の鎮守様の
裏手でございまして、手が届きそうな小さな丘なんでございますよ。もっとも何千年の昔....
「瘤」より 著者:犬田卯
かりたったある日のこと、田辺は作業服を着て古い帽子をかぶり、下男といっしょに家の
裏手の野茶畑で春蒔野菜の種子や隠元豆、ふだん草、山芋などを蒔きつけ、さらに、トマ....
「京のその頃」より 著者:上村松園
ころ、あすこは薩摩屋敷と言ったが、御維新の鉄砲焼の後、表通りには家が建て詰っても
裏手はまだその儘で、私の八つ九つ頃はあの辺は芒の生えた原ッぱだった。 万養軒の....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
で呼留めて「上野を抜けると寂しいんですがね、特に鶯谷へ抜ける坂のあたり、博物館の
裏手なぞは。」 「寂しいとこ行きたい、誰も居やはらんとこ大好きどす。」すかし幌の....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
拭を取って頬被。七兵衛は勝手の戸をがらりと開けた、台所は昼になって、ただ見れば、
裏手は一面の蘆原、処々に水溜、これには昼の月も映りそうに秋の空は澄切って、赤蜻蛉....
「活人形」より 著者:泉鏡花
得三に使わるる八蔵という悪僕なれば、害心もあらんかと、用心に用心して、この病院の
裏手まで来りしに、思えば運の尽なりけん。にわかに劇しく腹の痛みて、立ってもいられ....
「こがらし」より 著者:岩本素白
近く集って一つの声になって居るこがらしが吹く或る薄曇った寒い月に、私は近所の寺の
裏手の墓地へ耶蘇教の葬式が来ることを知って、無気味に思った。 その寺というのは....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
のあったことさえ知らないらしかった。「富士見の渡し」はこの河岸から「明治病院」の
裏手に当る河岸へ通っていた。その又向う河岸は掘割になり、そこに時々どこかの家の家....