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「裕福〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

裕福の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
煙管」より 著者:芥川竜之介
うかづめ》で、席次は、世々|尾紀水三家《びきすいさんけ》の次を占めている。勿論、裕福な事も、当時の大小名の中で、肩を比べる者は、ほとんど、一人もない。だから、そ....
星座」より 著者:有島武郎
っとそれを見やってしばらく考えているらしく、返事をしなかった。 人見は園が格別裕福な書生であるとは思われなかった。が、少なくとも白官舎にまがりこまねばならぬほ....
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
母がお前にも言うて置くが民子は嫁に往《い》った、去年の霜月やはり市川の内で、大変裕福な家だそうだ、と簡単にいうのであった。僕ははアそうですかと無造作に答えて出て....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
三島屋というのはどんな家《うち》ですえ」 三島屋は古い暖簾《のれん》で、内証も裕福であるように聞いていると、忠三郎は説明した。主人又左衛門は茶の心得があるので....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
に来たことであった。 母の祈祷だけで済めば、何事もなかったのであるが、伊勢屋が裕福であることを知っている式部は、更にお万に入れ知恵をして息子の久次郎をも釣り寄....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の時代に足弱と供の者とを連れて奥州から四国路までも旅行をするというのは、よっぽど裕福の身分でなければならないことは判り切っていた。伝兵衛はもう六十と云っていたが....
追憶」より 著者:芥川竜之介
だけであろう。 僕はまた西川といっしょに夏休みなどには旅行した。西川は僕よりも裕福だったらしい。しかし僕らは大旅行をしても、旅費は二十円を越えたことはなかった....
寒の夜晴れ」より 著者:大阪圭吉
、その頃の私の一番親しい友人でもあった。 三四郎の実家は、東京にあった。かなり裕福な商家であったが、次男坊で肌合の変っていた三四郎は、W大学の英文科を卒えると....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
烏だと、そのままの流灌頂。で、お宗旨|違の神社の境内、額の古びた木の鳥居の傍に、裕福な仕舞家の土蔵の羽目板を背後にして、秋の祭礼に、日南に店を出している。 売....
獄中消息」より 著者:大杉栄
とか言って来たら、誰でもいい一人頼むことにしたい。あれはごく正直な、そしてかなり裕福ないい農夫だ。これらのことはなお僕の出獄後いろいろ取計らうつもりだ。 まず....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
利用して、直介の処へ持って来たのだ。勿論、夫人は凡てを知っていた。そして、いま、裕福な自分の物質的な地位の上に刻々に迫ってくる黒い影を感じながら、この一両日の間....
鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
貌の持主であったことは容易に想像されるのである。その上に相当の教養もある、家庭も裕福であるらしい。その夫人が人生の春をすべてなげうち去って、こんにちまで悲しい独....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
の道悪を歩いて行った。 「よもや、鳶の者の二の舞はなされまい。何しろ御旗本でも御裕福な六浦琴之丞様。先殿の御役目が好かッたので、八万騎の中でも大パリパリ……だが....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
からそれが強くなったことにふしぎはあるまい。ボールタス・ヴァン・タッセル老人は、裕福な、何ひとつ不足のない、心の大まかな農夫の見ごとな標本だった。じっさい、彼は....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
隣村の杉淵の清五郎と言えば、一寸した旧家で源治などよりも余計に田をつくつている裕福な家であつた。しかもその姉娘の初世というのは、器量はよいし、よく働くしで評判....