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裸像
「裸像〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裸像の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ナポレオンと田虫」より 著者:横光利一
れて彼の寝顔を捧げていた。夜は更けていった。広い宮殿の廻廊からは人影が消えてただ
裸像の彫刻だけが黙然と立っていた。すると、突然ナポレオンの腹の上で、彼の太い十本....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
の最初を如何にと申すに、吾家に祖先より伝はれる一軸の絵巻物のはべり。中に美婦人の
裸像を描き止めたり。承り及びたる処によれば、呉家の祖先なにがしと申せし人、最愛の....
「厨房日記」より 著者:横光利一
来ている床几のような細長い黒黒としたテーブルが一つ置いてある。正面の壁には線描の
裸像の額がかかっているきりであるが、アフリカ土人の埋木の黒い彫刻が実質の素剛さで....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
なくなってまいりました。 先日もある浮世絵の書物で美人の標本として二、三の婦人
裸像が描かれてあるのを見ました。そしてそれには、相当丁寧に人体各部の説明が施され....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
るようだ。大体静物はいつの時代でも桃は桃であり、花は花である。風俗習慣を除去した
裸像は常に永久にただの人間の肉体そのものであり、風景は地球の凸凹であるわけだから....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
タキシ、四、五人で笑いさざめいてゆく町の娘、見なれない電車、灯に踊る停車場まえの
裸像の噴水、兵卒のような巡査、駈けよってくる花売り女――騒音は都会の挨拶だ。 ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
多産家の墓があり、墓のうえに花壇がつくられ――何しろ往けども往けども静止する人体
裸像の林で、出る頃には誰でもその神話中の一人物のようにひょうびょうとしてしまうよ....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
この書中に見る 逃れていった親しい人々 死んでいった愛する人たちの顔を むらがる
裸像の無数の悶えが 心にまといつくおののきのなかで 焔の向うによこたわったままじ....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
頭一ぱいに、お星様やお花畠をおもい、美しい人達――それがどうしてもあのマネキンの
裸像であったのだ――が踊ったり歌ったりしていた。 私は、大人達が親切にしてくれ....
「操守」より 著者:豊島与志雄
いんだ。どうにでもしてくれ。どうすれば……。」 云いながら、彼の眼には、冷かな
裸像が映っていた。水色の紗に漉された和らかな電燈の光の中、屏風を背景に、立膝で、....
「花ふぶき」より 著者:豊島与志雄
古代趣味を連想させるものがあるかも知れないが、千代は全くその反対だ。 そういう
裸像が、平素の千代と重り合うと、おれは忌わしい気持になるばかりでなく、憎悪をさえ....
「足の裏」より 著者:蘭郁二郎
死の方が、どれほど易々たることだったか――。 自分は姿を隠していて、それでいい
裸像群の隅々までも、見られるような――。これが景岡の胸の中に醗酵した『景岡浴場建....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
壇が、黒い艶を、金色の光を、静かに、輝かせていた。
すすけた厨子の中に、真黒な
裸像で立っている仏が、その前には、段々に供物が、花が、それから、その上に、白木の....
「少年連盟」より 著者:佐藤紅緑
雄の像をまつる、桃太郎という冒険者の像と、金太郎という動物と同棲していた自然児の
裸像もまつる、この祀りを五月の節句と称するんだ、五月節句は男子の祝日なのだ、だか....
「おせん」より 著者:邦枝完二
画嚢はこの通り。――」 懐中から取り出した春重の写生帳には、十|数枚のおせんの
裸像が様々に描かれていた。 六 松五|郎は、狐につままれでもしたように....