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裸形
「裸形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
裸形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「虚構の春」より 著者:太宰治
て、作品の基礎をなすものは、諸々の情熱の機構でも、出来事の必然的な継続でもなく、
裸形にされた純粋の偶然というものなのである。此《こ》の喜劇を読んでゆくと、秩序も....
「ろまん灯籠」より 著者:太宰治
寸である。けれども、決して、みっともないものではなかった。なかなかである。深夜、
裸形で鏡に向い、にっと可愛く微笑してみたり、ふっくらした白い両足を、ヘチマコロン....
「宇宙女囚第一号」より 著者:海野十三
の床に、大の字なりに死んだようになって寝そべっていたのは、最初の一目では、一個の
裸形の女と見えた。 だが、次の瞬間、僕はそれを早速訂正しなければならなかった。....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
陰に入るより)、駒ヶ岳の孤峭《こしょう》は、槍ヶ岳を忍ばせ、木食《もくじき》仙の
裸形の如く、雪の斑は、宛然《さながら》肋骨と頷《うなず》かれ候、八ヶ岳も、少し郊....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
い秋寒に講壇には真裸なレオというフランシスの伴侶が立っていた。男も女もこの奇異な
裸形に奇異な場所で出遇って笑いくずれぬものはなかった。卑しい身分の女などはあから....
「電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
湯の中を探って廻った。泥沼に陥没しかかった旅人のように、無暗矢鱈に藻掻き廻るその
裸形の男三人、時に赤鬼があばれるように、時にまた海坊主がのたうち廻るような幻妖な....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
で屋敷牢でござりますわい。しかもじゃ、十郎次の助の字、掠めとった女子供はいずれも
裸形にしてな、夜な夜な酒宴の慰みにしているとやらいう噂ゆえ、百姓達が殺気立って参....
「愛と美について」より 著者:太宰治
寸である。けれども、決して、みっともないものではなかった。なかなかである。深夜、
裸形で鏡に向い、にっと可愛く微笑してみたり、ふっくらした白い両足を、ヘチマコロン....
「トカトントン」より 著者:太宰治
ひいて、私はただ薄暗い湯槽の隅で、じゃぼじゃぼお湯を掻きまわして動いている一個の
裸形の男に過ぎなくなりました。 まことにつまらない思いで、湯槽から這い上って、....
「シベリヤに近く」より 著者:里村欣三
鳴をしぼってのめり落ちてしまった。彼が跳びおりない間に、素早く鞭の蔓が閃めいて、
裸形の背中を鋭くはためきつけたのだ。 「畜生! 太々しい野郎どもだ」 血迷った....
「放浪の宿」より 著者:里村欣三
りじり焼きつける執念深さから、僅かな木影や土塀の陰を盗み出して、そこにもここにも
裸形の苦力が死んだように、ぶっ倒れていた。そして寝苦しく身悶えする肌に、食い散ら....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
機械が著しく動く街景にあっては、顔はほんの一部分に過ぎません、また舞台へ二〇人の
裸形の女が並んだ時、顔は帽子の一部分であります。大体の看板は胴体と足であります。....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
。恐ろしいまでにあらゆる無恥と醜行に慣れ切ってるテレサが、その白熊みたいな莫大な
裸形と濡れた微笑とを運び入れて、そこで明光のもとに多勢の船員たちからどんな個人的....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
吸が…………。薄衣の下の肉体が…………。 で、この寝部屋の寝台の上に、…………
裸形の女は、決してお紅ではないのであった。単なる漁色的の動物であった。つつましい....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
形に適中しているのに怖くなった。そう想って来ると自分の直ぐ後に同じような浅間しい
裸形で、頭の上にだけ高い島田|髷を載せた橘屋の娘が頻りに何物かを自分に乞い求めて....