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褞
「褞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
褞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
じ》に近い大きな白熊の毛皮の上の盛上るような座蒲団《ざぶとん》の上に、はったんの
褞袍《どてら》を着こんだ場主が、大火鉢《おおひばち》に手をかざして安座《あぐら》....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
うつろいはじめる。彼らの影も私の脛の影も不思議な鮮やかさを帯びて来る。そして私は
褞袍《どてら》をまとって硝子《ガラス》窓を閉《とざ》しかかるのであった。 午後....
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
霊があの窓をあけて首を差し伸べそうな気さえする。がしかしそれも、脱ぎ棄てた宿屋の
褞袍《どてら》がいつしか自分自身の身体をそのなかに髣髴《ほうふつ》させて来る作用....
「海異記」より 著者:泉鏡花
がいわっしゃるとの、馬鹿いわっしゃい、ほんとうに寒気がするだッて、千太は天窓から
褞袍被ってころげた達磨よ。 ホイ、ア、ホイ、と浪の中で、幽に呼ばる声がするだね....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
好みで飾られていた。 やがて、ノッシ/\と現われて来たのは中肉中背ではあるが、
褞袍姿の見るからに頑丈そうな毬栗頭の入道で、色飽くまで黒く、濃い眉毛に大きな眼を....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
りしに、某貴族の見られしは白|襟を召て錦の御帯金色赫奕たりしとかや。夫に引変え破
褞袍着て藁草履はき腰に利鎌さしたるを農夫は拝み、阿波縮の浴衣、綿八反の帯、洋銀の....
「竹の木戸」より 著者:国木田独歩
が、出て去った後は一時に森となって家内は人気が絶たようになった。 真蔵は銘仙の
褞袍の上へ兵古帯を巻きつけたまま日射の可い自分の書斎に寝転んで新聞を読んでいたが....
「姫柚子の讃」より 著者:佐藤垢石
にも露おかせ、障子の穴を通う冷風が肌にわびしい。私は流れに沿った一室に綿の入った
褞袍にくるまり、小杯を相手として静かに鰍の漿を耽味したのであった。 折りから訪....
「おびとき」より 著者:犬田卯
る。 作造はそういう子供らから掛蒲団を奪うよりは、炉辺の方がまだましだと考えて
褞袍のまま起き出し、土間から一束の粗朶を持って来て火を起した。思ったほど魚は捕れ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
である。 「あんなものを巻着けておいた日にゃあ、骨まで冷抜いてしまうからよ、私が
褞袍を枕許に置いてある、誰も居ねえから起きるならそこで引被けねえ。」 といった....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
ら眼を反らした。その富貴長命という字が模様のように織りこまれた袋の中には、汚れた
褞袍、シャツ、二三の文房具、数冊の本、サック、怖しげな薬、子供への土産の色鉛筆や....
「雨の宿」より 著者:岩本素白
とと肚をきめると、雨の音は落ち着かぬ旅の心を和やかに静めてくれる。悪い癖で宿屋の
褞袍を着ることの嫌いな私は、ほんの七八日の旅なのに、わざわざ鞄に入れて来た着物と....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
、仕方が無いから重三郎も安吉も仙太郎の跡に従いて歩きましたが、重三郎は着つけない
褞袍を着、股引を穿き、手拭を鼻ッ冠りにして仙太郎の跡から従いて歩きますが、心配な....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
だか薄ら寒いなとなった。夏は夏でも夜分は急に冷えるのがここらの気候だと思われる。
褞袍を浴衣の上に重ねる。それからぽつんとちゃぶ台の前に坐ると、傍の手あぶりには炭....