襟を正す[語句情報] »
襟を正す
「襟を正す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
襟を正すの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「如是我聞」より 著者:太宰治
ろう。しかし、それを自身が殉教者みたいに、いやに気取って書いていて、その苦しさに
襟を正す読者もあるとか聞いて、その馬鹿らしさには、あきれはてるばかりである。 ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
とその何だか、火箸で灰を引掻いて、 「僕は窮屈で困る。母様がああだから、自から
襟を正すと云ったような工合でね。…… 直の妹なんざ、随分|脱兎のごとしだけれど....
「睡蓮」より 著者:横光利一
色で淀んで見えた加藤家の一角が、突然|爽やかな光を上げて清風に満ちて来るのを覚え
襟を正す気持ちだった。 「冷え立ちし夜床にさめて手さぐりに吾子の寝具かけなほしけ....
「十万石の怪談」より 著者:佐々木味津三
出して参った。――のう! そち達!」 不意だった。むくりと脇息から身を起すと、
襟を正すようにして突然言った。 「怪談をするか! のう! 気を張りつめていたいの....
「斜陽」より 著者:太宰治
けるかっていうんだ。どだいそんな、傑作意識が、ケチくさいというんだ。小説を読んで
襟を正すなんて、狂人の所作である。そんなら、いっそ、羽織袴でせにゃなるまい。よい....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
の一念であった事が今にして思い当られるようである。 翁百世の後、翁の像を仰いで
襟を正す人在りや無しや。 思うて此に到る時、自から胸が一パイになる。 只....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
を叱って法道のまえに頭を垂れ、悔いおののいていると、
この、粛然《しゅくぜん》
襟を正すべき名奉行の貴い悶《もだ》えもしらずに、忠相の足もとに嬉々《きき》として....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
あって、俊彦はふいに顔を挙げた。眼が輝いて、いやに真剣な様子だった。昌作も自ずと
襟を正すような心地になった。 「君は沢子さんをどう思います?」 昌作は息をつめ....
「蔵の二階」より 著者:豊島与志雄
カヨに向っては、久子は、皆と一緒に一階に寝ることを勧めた。 カヨはちょっと
襟を正すような様子で、きっぱり言うのである。 「わたしが下に寝たら、二階には誰が....
「道成寺不見記」より 著者:夢野久作
んでいる。ことにワキ師の無気力と、チョコチョコ技芸を無用視している処なぞ、思わず
襟を正すものがある。白紙の力である。無意識の権威である。 乱歩氏の分は私信を無....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ないのは、世間の人々の好意である。 武蔵は恐いのである。理解ある人の好意には、
襟を正すが、その衆望が浮薄化して、人気というような波に乗せられることを、恐ろしい....