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「襷掛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

襷掛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
野菊の墓」より 著者:伊藤左千夫
。泣面《なきつら》などして。あの常さんて男、何といういやな人でしょう」 民子は襷掛け僕はシャツに肩を脱いで一心に採って三時間ばかりの間に七分通り片づけてしまっ....
少女病」より 著者:田山花袋
花ものが五つ六つだらしなく並べられてある。細君らしい二十五、六の女がかいがいしく襷掛けになって働いていると、四歳くらいの男の児と六歳くらいの女の児とが、座敷の次....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
せるほどに成った。主人は鬚も剃らずに林の監督をやっているような人であった。細君は襷掛で、この山の中に出来た南瓜なぞを切りながら働いていた。 四人の子供も庭へ出....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
れたという櫛箱なぞをそこへ取り出して来ておまんに見せた。 「どれ。」 おまんは襷掛けになって、お民を古風な鏡台に向かわせ、人形でも扱うようにその髪をといてやっ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
か月近い従軍からそこへ帰って来た人がある。とがった三角がたの軍帽をかぶり、背嚢を襷掛けに負い、筒袖を身につけ、脚絆草鞋ばきで、左の肩の上の錦の小片に官軍のしるし....
」より 著者:島崎藤村
かった。町中に射す十月下旬の日をうけて、門前に立掛けて置いた張物板はよく乾いた。襷掛で、お雪がそれを取込もうとしていると、めずらしい女の客が訪ねて来た。 「まあ....
うつり香」より 著者:近松秋江
涙だ。 「ああ、おすまには済まなかった。七年の間ろくろく着物を一枚着せず、いつも襷掛けの水仕業ばかりさせていた」 そう思うと、売女にたった十五円ばかりのコート....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
それはズット昔からある水売りで、売子は白地の浴衣、水玉の藍模様かなんかで、十字の襷掛け、荷の軒には風鈴が吊ってあって、チリン/\の間に「ひやっこい/\」という威....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の牛肉屋の娘で――御新客、鍋で御酒――帳場ばかりか、立込むと出番をする。緋鹿子の襷掛けで、二の腕まで露呈に白い、いささかも黒人らしくなかったと聞いている。 ま....
霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
走って参り、織場へ往って見ますると、おくのは夜は灯火を点けて夜業を為ようと思い、襷掛けに成って居る後へ参り、 布「お母さん/\」 くの「何んだよ、昨日も学校から....
松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
のある、少しも白粉気の無い実に透通る様な、是が本当の美人と申すので、此の娘が今|襷掛で働いて居ります、余り美しいから人が立停って見て居る様子。 馬「もし旦那|一....
重兵衛さんの一家」より 著者:寺田寅彦
子を持出してそれに楠さんが腰をかけている。その傍に立った丸髷の新婦が甲斐甲斐しく襷掛けをして新郎のために鬚を剃ってやっている光景がちらと眼前に展開した。透見の女....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
という名が書いてあり、下地ッ子とでもいうのでしょう、髪だけ綺麗に結った女の子が、襷掛けで格子を丁寧に拭いていました。いつかお母様とその前を通りかけた時、人と立話....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
枚着に、めりんす友染と、繻子の幅狭な帯をお太鼓に、上から紐でしめて、褪せた桃色の襷掛け……などと言うより、腕露呈に、肱を一杯に張って、片脇に盥を抱えた……と言う....
磯部の若葉」より 著者:岡本綺堂
向いの家はもう起きていた。家の軒下には桑籠が沢山に積まれて、若い女房が蚕棚の前に襷掛けで働いていた。若い娘は何を祈っているのか知らない。若い人妻は生活に忙がしそ....