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「西向き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

西向きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
て困ったものがあると思った。そのほかには台所のそばにつやの四畳半の部屋《へや》が西向きについていた。女中部屋を除いた五つの部屋はいずれもなげし付きになって、三つ....
星座」より 著者:有島武郎
すぐ右手に取りつけられてあるのを園は見ておいたのだ。窓はやすやすと開いた。それは西向きのだった。そこからの眺めは思いのほか高い所にあるのを思わせた。じき下には、....
思い出の記」より 著者:小泉節子
するについては、冬の寒さには困らないように、ストーヴをたく室が欲しい。又書斎は、西向きに机を置きたい。外に望みはない。ただ万事、日本風にと云うのでした。この外に....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
梯子を登った。黒光りのするほどよく拭き込んであるその箱梯子も伏見屋らしいものだ。西向きの二階の部屋には、金兵衛が先代の遺物と見えて、美濃派の俳人らの寄せ書きが灰....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ちの途中にある。 二人の友人ばかりでなく、この先輩までも家に迎え入れて、半蔵は西向きに眺望のある仲の間の障子を明けひろげた。その部屋に客の席をつくった。何より....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
みから二階への箱梯子を登った。 「お父さん。」 と声をかけて置いて、彼は二階の西向きの窓に近く行った。提灯でもつけて水をくむらしい物音が隣家の深い井戸の方から....
日本脱出記」より 著者:大杉栄
、その上からそとのマロニエの梢が三本ばかりのぞいていた。もう白い花が咲いていた。西向きのこの窓の左には壁にくっついて小さな寝台が置いてあった。ちゃんと毛布を敷い....
神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
、自分の部屋にこもっていた。襖を締め切り黙然と坐り、じっと膝の上を見詰めている。西向きの窓から夕陽が射し、随分部屋は熱いのに、そんなことには無感覚らしい。視線の....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
沁み込んだとしたら第二の天性ともなる事がある。うっかりと乗り込んだ乗り物である。西向きか東向きか知らずに乗込んだ汽車である。気がついた時、汽車は地獄へ向って走っ....
仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
いるが、体は他人の間柄であった。 三間ほどある部屋のその一つ、夕陽の射している西向きの部屋に、三味線を膝へ抱え上げ、あやめが一人で坐っていた。 ※逢うことのま....
道なき道」より 著者:織田作之助
そこはゴミゴミした町中で、家が建てこみ、風通しが悪かったが、ことにその部屋は西向き故、夏の真夏の西日がカンカン射し込むのだった。さすがの父親もたまりかねたの....
ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
、踊り喜び、義弟をつれて曲馬見物に行き、入口の所でこみ合って喧嘩椅子にかかりて、西向きの室から外を眺めつつ日を暮らし、終に眠るがごとくにこの世を去り、静かに墓地....
贋物」より 著者:葛西善蔵
廻って上りきった突端に、その耕吉には恰好だという空家が、ちょこなんと建っていた。西向きの家の前は往来を隔てた杉山と、その上の二千尺もあろうという坊主山で塞がれ、....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
り周囲三町四面の石塀が立って居る。その石塀のまんなかに大門がある。その大門の内へ西向きに入って行くと、白く円い郵便箱のような物が三間程ずつ隔てて道の両側に立てら....
死児を産む」より 著者:葛西善蔵
は二階の六畳の部屋の万年床の中で、いくらか心許ない気持で聞いていた。自分の部屋の西向きの窓は永い間締切りにしてあるのだが、前の下宿の裏側と三間とは隔っていない壁....