見え隠れ[語句情報] » 見え隠れ

「見え隠れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見え隠れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
報恩記」より 著者:芥川竜之介
云う、洛中《らくちゅう》に名高い盗人《ぬすびと》なのです。わたしは後《あと》から見え隠れに甚内の跡をつけて行きました。その時ほど妙に嬉しかった事は、一度もなかっ....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
侍で、これは万一平太夫が御文に無礼でも働いてはならないと、若殿様にも申し上げず、見え隠れにあの老爺《おやじ》の跡をつけたのでございます。 二人の間はおよその所....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
んだから仕方がない。が、勿論お蓮一人、出してやれたもんじゃないから、そこは牧野が見え隠れに、ついて行く事にしたんだそうだ。 「ところが外へ出て見ると、その晩はち....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
》の中から真直に天を突いて、僅《わず》かに覗《のぞ》かれる空には昼月が少し光って見え隠れに眺められた。彼れは遂に馬力の上に酔い倒れた。物慣れた馬は凸凹の山道を上....
星座」より 著者:有島武郎
流れている千歳川の上流をすかしてみると、五町ほどの所に火影が木叢《こむら》の間を見え隠れしていた。瀬切りをして水車がかけてあって、川を登ってくる鮭《さけ》がそれ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
彼を尊敬しているようでは、どんな邪魔がはいらないとも限らないので、幸次郎と多吉も見え隠れにそのあとを追って行った。庄司の家はなるほど由緒ありげな大きい古屋敷で、....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、又どんな目を逢うかも知れないという恐れがあるので、彼は半町ほどの距離を置いて、見え隠れに慕ってゆくと、三人は途中から更に爪先《つまさき》をかえて、徳住寺から少....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いたんですが、それが別の女だと知れて、わたくしも少し案外に思ったんです。そこで、見え隠れに又その後を尾けて行くと、女は今戸橋を渡って、八幡さまの先を曲がって、称....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は相棒の富松をつれて約束通りにたずねて来た。かれらに空駕籠をかつがせて、七兵衛は見え隠れにそのあとに付いて、人通りの少なそうなところを廻ってあるいたが、化け猫ら....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
せんよ」 間もなく船は、スピードをグッと落して、遠くに上る潮の林を目標にして、見え隠れ鯨群のあとをつけるのだった。船足は、のろのろと鈍くなったが、船の中の緊張....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
方を瞻りつつ、椽側に立ちたるが、あわれ消残る樹間の雪か、緑翠暗きあたり白き鸚鵡の見え隠れに、蜩一声鳴きける時、手をもって涙を拭いつつ徐に謙三郎を顧みたり。 「い....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
縫って、ひらひらと目に遮った、不思議な影がありました。それが天井の一尺ばかり下を見え隠れに飛びますから、小宮山は驚いて、入り掛けた座敷の障子を開けもやらず、はて....
黒百合」より 著者:泉鏡花
日来るぜい、おさらばだいと、高慢な毒口を利いて、ふいと小さなものが威張って出る。見え隠れにあとを跟けて、その夜金竜山の奥山で、滝さん餞別をしようと言って、お兼が....
妖婆」より 著者:岡本綺堂
返事をくり返しているので、店の者共もすこしく不審に思って、事を好む一人が或るとき見え隠れにそのあとを付けて行くと、かれは三町目谷の坂下から東へ切れて、かの横町へ....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
へ、先廻りして、身内の者に網を張らして置いたのよ。然うして後から私も化け込んで、見え隠れに附けているとも知らず、此女とお前さんは道連れに成って仲好くして、縺れぬ....