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見す見す
「見す見す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見す見すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
とっさ》に頭をかすめたからである。が、それと同時に、ここまで追窮して置きながら、
見す見すその事実なるものを逸してしまうのが、惜しいような、心もちもした。そこへま....
「或る女」より 著者:有島武郎
いた。葉子は生来こんなみじめなまっ暗な思いに捕えられた事がなかった。それは生命が
見す見す自分から離れて行くのを見守るほどみじめでまっ暗だった。この人を自分から離....
「海異記」より 著者:泉鏡花
だ。気を確に持たっせえ、弱い音を出しやあがるなッて、此家の兄哥が怒鳴るだけんど、
見す見す天竺へ吹き流されるだ、地獄の土でも構わねえ、陸へ上って呼吸が吐きたい、助....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
に来て、あすこで、勉強しなさいよ」と言った、その二階がいつもあのざまなのだろう。
見す見す堕落の淵に落し入れられるのであった。未練がないだけ、僕は今かえって仕合せ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
尉が、その後について云った。「三対一の比率は、あまりに甚だしい。しかし軍令部が、
見す見す負けるような計画を作る筈もない。そうかと云って、いくら吾が飛行機の優秀を....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ころへ飛びこんでゆきたいのを、じっと怺えていました。それは犬死にきまっていますが
見す見す部下が弱ってゆくのを眺めていることは、どんなにか苦しいことでしょう。戦い....
「流線間諜」より 著者:海野十三
あるのか、ビクリとも動かない。だから格子を外して降りようたって簡単にはゆかない。
見す見す宝を前にして指を銜えて引込むより外しかたがないのであろうか。帆村は歯をぎ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
三宝、魔物の唾じゃ。 三十九 例の、その幻の雨とは悟ったものの、
見す見すひやりとして濡るるのは、笠なしに山寺から豆腐買いに里へ遣られた、小僧の時....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、壁裏の蝙蝠、穴籠の熊か、中には瓜子という可憐なのも、気ばかり手負の荒猪だろう。
見す見す一雪女史に先を越されて、畜生め、でいる処へ、私のその『べっかっこ』だ、行....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
れらしいのもござりませぬで、希有じゃと申出しますと、いや案内に立った唯今の女は、
見す見す廊下をさきへ立って参ったというて、蒼くなって震えまするわ。 太う恐がり....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
四人の口を過ごしかねるようになったので、大根畠に借家して半歳ばかり居食をしたが、
見す見す体に鉋を懸けて削り失くすようなものであるから、近所では人目がある、浅草へ....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
出る……支流で、川は細いが、汐はこの方が余計に注すから、どうかとは思ったものの、
見す見す厭な路を繰返すよりは、 (行って見ましょう。) と歩行き出して、向を代....
「科学時潮」より 著者:海野十三
死の谷に立ちのぼる白気は愈々勢いを増した。怪人は一同に別れを告げて去った。一行は
見す見すこの恐るべき殺人犯人を見遁すより外に仕方がなかった。 ――それから数分....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
ろ、以ての他の事。しかしながら、浪人とあるからには家中同様の刑罰も加えられまい。
見す見す騙り者と知れながらも、手の下し様もない事故。願いのままに一応は召抱え、そ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
うなすったんでございますねえ。」 凄い。じっと見た目が袂を引いたより力が強い。
見す見す魔界と知りながら、年増の手には是非もない。馬は、ふらふらとなって切戸口か....