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「見て取る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見て取るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
眉《いちもんじまゆ》は深くひそんで、その両眼はひときわ鋭さを増して見えた。それを見て取ると葉子の心の中はかっとなったが、笑《え》みかまけたひとみはそのままで、す....
或る女」より 著者:有島武郎
時にこんな所で思いもかけず出あったが予想のほかに満足であったらしい倉地の顔つきを見て取ると、葉子は何もかも忘れてただうれしかった。そのまっ黒によごれた手をいきな....
富士」より 著者:岡本かの子
女神の腰に艶なる人界の色を彩《あやど》る。 翁はわが子ながら神々しくも美しいと見て取るうち、女神の姿は過ぎた。 娘の神が捧げて過ぎた机代のものの中で、平手《....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
りで、海中に突き入った陸地と海そのものの界とも言うべき瀬がどう走っているかをすぐ見て取る事ができる。 帆がおろされる。勢いで走りつづける船足は、舵のために右な....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の柔和なレシグネーションの中に、昂然として何物にも屈しまいとする強さを私は明かに見て取ることが出来る。神の信仰とは強者のみが与かり得る貴族の団欒だ。私は羨しくそ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
画の全貌をも眺め取った。幸い陽の斑点は光度が薄かったので、肖像画の主人公の面影を見て取ることが出来た。金モールの大礼服をつけた額の高い、鼻が俊敏に秀でている禿齢....
河明り」より 著者:岡本かの子
ついている裾裏と共色の股引を穿いているのを異様に思った。私がそれ等に気がついたと見て取ると、娘は、 「変って居りまして。なにしろ男の中に立ち混って働くのですから....
雛妓」より 著者:岡本かの子
方へ向いた。 「おにいさん――」 しかしその言葉はわたくしに対して懸念がありと見て取るとかの女は「ほい」といって直ぐ、先生と言い改めた。 「先生。何か踊らなく....
かんかん虫」より 著者:有島武郎
だ。 私は「黙っちゃ居ねえ」と云う簡単な言葉が、何を言い顕わして居るかを、直ぐ見て取る事が出来た。余りの不意に思わず気息を引くと、迸る様に鋭く動悸が心臓を衝く....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
りよ。母さんは一人でお夕飯も欲しくない。早く片附けてお留守をしましょう。一人だと見て取ると、村の人が煩いから、月は可し、灯を消して戸をしめて。―― と框にずッと....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
礼を憤ったのかと思うと、――そうではない。この、好色の豪族は、疾く雨乞の験なしと見て取ると、日の昨の、短夜もはや半ばなりし紗の蚊帳の裡を想い出した。…… 雨乞....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
で、成程、服装とても秋日和の遊びと見えぬ。この老人の用ありそうな身過ぎのため、と見て取ると、半纏着は気を打って、悄気た顔をして、剥いて落した梨の皮をくるくると指....
三枚続」より 著者:泉鏡花
らあ、どうせ碌な者は売るんじゃあねえ。」と紋床は話が実で、ものになりそうな卵だと見て取ると、面白しで大に煽る。 金之助は驚いて、 「馬鹿なことを言え、罰の当っ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
、態も、振も、今の先刻。殊に小火を出した物語。その時の焼っ焦、まだ脱ぎ更えず、と見て取る胸に、背後に炎を負いながら、土間に突伏して腹を冷した酔んだくれの俤さえ歴....
」より 著者:カフカフランツ
てられてやってきたものにちがいない。自分のいうことがKを考えこませてしまったのを見て取ると、教師は言葉をつづけた。 「私は異論を申し立てました。これまで学校の小....