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見も知らぬ
「見も知らぬ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見も知らぬの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
返って見ると、いつのまにかあたりまえの女の生活をすりぬけて、たった一人《ひとり》
見も知らぬ野ずえに立っているような思いをせずにはいられなかった。女学校や音楽学校....
「或る女」より 著者:有島武郎
い出した。自分の顔より映るはずがない。それだのにそこに映っているのは確かにだれか
見も知らぬ人の顔だ。苦痛にしいたげられ、悪意にゆがめられ、煩悩《ぼんのう》のため....
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
堯は近くへ散歩に出ると、近頃はことに母の幻覚に出会った。母だ! と思ってそれが
見も知らぬ人の顔であるとき、彼はよく変なことを思った。――すーっと変わったようだ....
「心中浪華の春雨」より 著者:岡本綺堂
怖に足がすくんだ。力のない男の歩みも遅かった。 どう考えてもこの弱々しい男を、
見も知らぬ遠い他国へ追いやって、たんと苦労させるのがいじらしかった。苦労をする男....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
には、異常なる光景が出現した。 ラジオの高声器のある戸毎家毎には、近隣の者や、
見も知らぬ通行人までが、飛びこんで来て、警備司令部の放送がこれから如何になりゆく....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
吐きだすように言った。 「――考えてもみろ。歌を作るのはやすいが、そのおかげで、
見も知らぬ女を押しつけられるのは、真っ平だ。俺の幼馴染みに、楓という美女がおった....
「英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
で、顔をしかめて、下を見た。 「あなたァ、ここよ。早く早く」 「え」 見ると、
見も知らぬ若い白人の女が、しきりに、彼の中国服の裾を引張っているのであった。 「....
「怪塔王」より 著者:海野十三
っちでもありませんでした。それはのっぺりした若い西洋人の顔でありました。まったく
見も知らぬ西洋人の顔です。 (おや、これが怪塔王の素顔か!) 帆村も、小浜も、....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
七 いや、御坊、無い事とも言われませぬ。昔も近江街道を通る馬士が、橋の上に立った
見も知らぬ婦から、十里|前の一里塚の松の下の婦へ、と手紙を一通ことづかりし事あり....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
全くの反対であったのだ。杉田二等水兵は、嬉し泣きしているのであった。その死体は、
見も知らぬ中国人であったのだ。 「川上機関大尉は、どこかに必ず生きている!」 ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、いかに呼べど叫べど、あの娘は姿を見せてくれませぬ。そして不図気がついて見ると、
見も知らぬ一人の老人が枕辺に佇って、凝乎と私の顔を見つめて居るのでございます。や....
「錦紗」より 著者:犬田卯
つてお裁縫を習いにこの路を町へ通っていた時分の、ある夕方のこと、怪しげな身装の、
見も知らぬルンペン風の男にあとをつけられた時は、二十分とかからないで、沼岸のさび....
「夜の構図」より 著者:織田作之助
か。 雨が鋪道を濡らしていた一時間、信吉はホテルの第四五三号室のベッドの上で、
見も知らぬ行きずりの女の体を濡らしていたのである。 娘は中筋伊都子という。十九....
「活人形」より 著者:泉鏡花
泰助は振返りて、「宜しい、おはいんなさい。と答うれば、戸を排きて、医師とともに、
見も知らぬ男|入り来れり。この男は、扮装、風俗、田舎漢と見えたるが、日向眩ゆき眼....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
別れ、美醜に別れます。例えば愛について言ってみますと、一人の夫が道を歩きながら、
見も知らぬ女性に愛を語ろうとしたら、これは不道徳ばかりでなく、場合によっては法律....