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見合う
「見合う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見合うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
じ車台に飛び上った。車内はそれほど込みあっていなかったので、乗客は自由に互の顔を
見合う余裕を充分持っていた。敬太郎は箱の中に身体を入れると同時に、すでに席を占め....
「蟹工船」より 著者:小林多喜二
終ってから、煮しまった手拭で首を拭きながら、皆ゾロゾロ「糞壺」に帰ってきた。顔を
見合うと、思わず笑い出した。それが何故か分らずに、おかしくて、おかしくて仕様がな....
「栄螺」より 著者:田畑修一郎
る、又もぐりこむ。時々、友人といっしょに浮び上って、大急ぎで息を吸い込む変な顔を
見合うことがあるが、それを笑っていられないほど忙しい。 あの採りたての栄螺を岩....
「安重根」より 著者:谷譲次
届けるために君を走らせた――。 と再び箱を開けて、禹徳淳に示す。二人は黙って顔を
見合う。間。 安重根 (苦笑)二挺ある。何方でも採りたまえ。 禹徳淳 ははははは....
「窓」より 著者:鷹野つぎ
は、天井か足下の出入口かお互いの顔か、または反面の板壁しかなかった。お互いの顔を
見合う日は最も気分のいい日で、私は病児の髪の伸びたのも苦にするほど何か楽しい母ご....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
いきり大きな声で叫んだ。 「……」 中国人ボーイたちはきょとんとして、互の顔を
見合うばかり。日本語なんか、ちっとも分からないという風だ。 日本語のほか知らな....
「遠野へ」より 著者:水野葉舟
っている人達を見おろして、得意そうににやにやして笑いかけた。その目と私の目とふと
見合うと、私は妙な不快な感じがした。売卜者《うらないしゃ》のような人を馬鹿にした....
「復讐」より 著者:豊島与志雄
にか空しい。 「ねえ、僕の眼を見るんだよ。僕は君の眼を見るから。眼と眼と、じっと
見合うんだ。」 「いや、そんなこと、いやよ。許して。」 「これっきりだ。一度っき....
「旅だち」より 著者:豊島与志雄
て来ました。 敏子は飛び上るように喜んで、自室に迎え入れました。 まじまじと
見合うお互の顔は、以前と少しの変りもありませんでした。それだけでもう、本当のお話....
「お奈良さま」より 著者:坂口安吾
に気づかなかったのです。夫婦の真の愛情というものは言葉で表現できないもので、目で
見合う、心と心が一瞬に通じあい、とけあう。それと同じように、手でぶちあったり、た....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
捨て逃げ去りしなりというに、東京という所の凄じさ、白昼といい人家稠密といい、人々
見合う中にて人の物を掠め去らんとする者あり。肌へ着けたりとて油断ならずと懐中へ手....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
升田は東正面に当る位置に、間に数名の人をはさんで遠く離れているばかりでなく、顔を
見合うこともできないような位置に二人の席を定めておいた。 いかにもキメのこまか....
「つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
」 突き刺すような一言、ひしがれたかれ声が耳の近くで。 文次と安、思わず眼を
見合う、二人のほか誰ひとりいないこの部屋である。 「おい」 またしても声だ。が....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
ような、悲しいような様子で顔を赤くしている。ハバトフは肩を縮めて冷笑し、ニキタと
見合う。ニキタも同じく肩を縮める。 翌日ハバトフは代診を伴れて別室に来て、玄関....
「王さまの感心された話」より 著者:小川未明
しく妹をなぐさめて、 「たとえ、遠く離れることがあっても、わたしたちは、毎晩顔を
見合うことができれば、それで満足するであろう。」といいました。 いよいよ三|人....