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「見回す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見回すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
堅く結んで、息気《いき》もつけなくなってしまった。何人そこに人がいるのか、それを見回すだけの気力もなかった。天気なのかあらしなのか、それもわからなかった。稲妻が....
入れ札」より 著者:菊池寛
に書き終える) 喜蔵 さあ、みんな書いたか。まだ書かねえ人はねえか。(周囲を見回す) よし、みんな書いたのだな。親分、みんな書きました。 忠次 われ、読み上....
屋上の狂人」より 著者:菊池寛
とく狂い回りたる後、昏倒する。ふたたび立ち上った彼女は、きょろきょろとして周囲を見回す) 巫女 (以前とはまったく違った声音で)我は当国|象頭山《しょうずざ....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
世の感じは、どこにも見えないような気がする。(飲みほす)この杯はだれにやろう。(見回す)かえで、かえで。小さいかえでに。(杯をかえでにさす) かえで おおきに。....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
、民間の隠れたところにあっても、せめて勤王の味方に立とうと志している彼だ。周囲を見回すごとに、他の本陣問屋に伍して行くことすら彼には心苦しく思われて来た。 奥....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
ただ黙然とおのれら一族の運命に対していた。これがついの栖家か、と考えて、あたりを見回すたびに、彼は無量の感慨に打たれずにはいられなかった――たとい、お民のような....
愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
生に執着したい。されどされど退いて自己の内面生活を顧みるとき、徘いて周辺の事情を見回すとき、内面生活のいかに貧弱に外情のいかに喧騒なるよ。前者の奥には爛として輝....
郊外」より 著者:国木田独歩
かになって、煙草を吸うやら便所に立つやら大騒ぎ。 『お梅。』母親がきょろきょろと見回すと、 『なに。』お梅は大きな声で返事をした。 『どこにいたのさっきから。』....
家なき子」より 著者:楠山正雄
曲であることもあった。なわ張りの外に見物はぞろぞろ集まっている。わたしはこわごわ見回すと、数知れないひとみの光がわたしたちの上に集まっていた。 一番の芸当が終....
俊寛」より 著者:倉田百三
だね。あんなのを餓鬼というのだろうよ。 三人退場。 俊寛 (立ち上がり、あたりを見回す)あゝ、何というみじめさだ。(走り行き岩かどに頭を打ちつけんとして躊躇す)....
月世界競争探検」より 著者:押川春浪
見廻したがまだ出発した形跡はない。やれ一まず安心と、今度は双眼鏡で前の洞の附近を見回すと、 「難有い。まだ居る※」 洞穴から一里ばかりも距った処に、一箇の飛行....
迷信解」より 著者:井上円了
まり、老僕がそのとき酒酔いの上に、その辺りに狐狸の出ずるならんかとしきりに左右を見回すうちに、大黒頭巾が両眼を隠せるを知らざりしより起こったのじゃ。かかる話は誤....
かもめ」より 著者:神西清
けられるの、かもめみたいにね。……胸のなかは、あなたのことでいっぱい。(あたりを見回す) トレープレフ 僕たちきりですよ。 ニーナ 誰かいるみたいだわ…… トレ....
ワーニャ伯父さん」より 著者:神西清
へ帰ります。もう二度とここへは来ません。が、その代り……(女の手を取ってあたりを見回す)どこかで逢いましょう。さ早く、どこで逢いましょう? 誰かくるといけません....
私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
やってきた。私はふらりとそれに飛び乗った。電車が動き出してから、車内をひとわたり見回すと、私の筋向かいに一見請負人らしい親分ふうの男が座っている。私はその男に近....