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見廻る
「見廻る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見廻るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
んでいると、彼はどんな遠いところで、忙《せわ》しい用事に働いている時でも、彼女を
見廻ることを忘れなかった。彼はその頃から、働くことが面白そうであった。叔父夫婦に....
「源おじ」より 著者:国木田独歩
》の轟《とどろ》くようなる音し磯打つ波砕けて飛沫《しぶき》雨のごとし。人々荒跡を
見廻るうち小舟一|艘《そう》岩の上に打上げられてなかば砕けしまま残れるを見出しぬ....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
寄って来た。それは織部清治で、彼は宵と夜なかと夜あけとの三度に、屋形の庭じゅうを
見廻るのが役目であった。 彼は暗いなかで、犬が水を飲むような異様なひびきを聞い....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。それでも江戸は生馬の眼をさえ抜く所だからと云うので、寺男がひと晩のうちに三度は
見廻ることになっていて、寺男の弥兵衛が九ツと八ツと七ツ、即ちこんにちの十二時と午....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
まになる。見舞の手紙見舞の人、一々応答するのも一仕事である。水の家にも一日に数回
見廻ることもある。夜は疲労して座に堪えなくなる。朝起きては、身の内の各部に疼痛倦....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
から、其の方|己がお上屋敷へまいって居る中は、折々お内庭を見廻れ、御寝所近い処も
見廻るようにと兄より私が言付かって居ります、然る処昨日御家老より致しまして、火急....
「家」より 著者:島崎藤村
携えて、成長した葱などを見に行った。百姓の言葉でいう「サク」は最早何度かくれた。
見廻る度に延びている葱の根元へは更に深く土を掛けて、それから馬鈴薯の手入を始めた....
「新釈諸国噺」より 著者:太宰治
、朝から日の暮れるまでに三度、夜寝る前に一度、日に都合四度ずつ竹の杖をついて庭を
見廻る振りをして、人知れず植込みの奥に眼を光らせてはいって行き、その隠し場所の安....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
りと湿れている風情は、なんともいえないほどに美しいものでした。 「わたくしは少し
見廻るところがありますから、これでちょっと失礼します。」 関井さんは途中でわた....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
その声に誘われて鼻をすすった。 「三日前から、もう自分の臨終を知って、家の中まで
見廻るなんて、何という落ちついた仏様でしょう。」 お祖母さんは、声をふるわせな....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
木を買うにつき再調査に見えたとふれこめばよろしい。あの現場ではアタシが社長代理で
見廻る例でざんすから、お客さんを案内するのもアタシの役目のうちでござんす。皆さん....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
山国でもなかなか原料が間に合いません。山蔭に竈を据えて、炭を焼くようにして、始終
見廻るのでした。頼んだ人夫に心懸けのよくないのがあって、そっと牛の頭を混ぜて持っ....
「人狼」より 著者:岡本綺堂
ったが、兄さんは今夜どっちの方角へ行かれたろうな。 お妙 今夜は夜通しで、村中を
見廻ると云っていましたが……。 寅蔵 源五郎は見えなかったかな。 お妙 (すこし....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
よく検分せらるる事もあり、またお越しにならぬ事もある。しかしシナの駐蔵大臣は大抵
見廻るようになって居る。
私はやはり僧侶の一員でありましたから、本当はこの供養....
「活人形」より 著者:泉鏡花
発轟然。 贋探偵の銀平が出去りたる後、得右衛門はなお不審晴れ遣らねば、室の内を
見廻るに、畳に附たる血の痕あり。一箇処のみか二三箇処。ここかしこにぼたぼたと溢れ....