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見当
「見当〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見当の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
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岩とも泥とも
見当《けんとう》のつかぬ、灰色をなすった断崖《だんがい》は高だかと曇天に聳えてい....
「影」より 著者:芥川竜之介
上のプログラムを私に渡してくれた。が、それにはどこを探しても、『影』と云う標題は
見当らなかった。
「するとおれは夢を見ていたのかな。それにしても眠った覚えのない....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
の所謂《いわゆる》『愛《アムウル》のある結婚』をするのだか、とんと私たち友人にも
見当のつけようがありませんでした。
「ところがその中に私はある官辺の用向きで、し....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
波の去来する埠頭の前後を眺めまわした。そこには肝腎のBさんは勿論、日本人は一人も
見当らなかった。しかし僕は桟橋の向うに、――枝のつまった葉柳の下に一人の支那美人....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
「じゃ君の清元《きよもと》の御師匠さんの近所じゃないか?」
「ええ、まあそんな
見当です。」
神山はにやにや笑いながら、時計の紐《ひも》をぶら下げた瑪瑙《めの....
「白」より 著者:芥川竜之介
》れたなり、木々の間を歩いて行きました。ここには幸い池のほかには、姿を映すものも
見当りません。物音はただ白薔薇《しろばら》に群《むら》がる蜂《はち》の声が聞える....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
仲間の若者たちの方を振返った。が、彼の近所にはその満足を共にすべく、一人の若者も
見当らなかった。彼等はもうその時には、みんな河原の水際《みぎわ》により集まって、....
「捨児」より 著者:芥川竜之介
です。が、説教日は度々めぐって来ても、誰一人進んで捨児の親だと名乗って出るものは
見当りません。――いや勇之助が三歳の時、たった一遍、親だと云う白粉焼《おしろいや....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
結果を眺めていた。が、ズボンや上着は勿論、靴や靴下を検べて見ても、証拠になる品は
見当らなかった。この上は靴を壊《こわ》して見るよりほかはない。――そう思った副官....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
色で、やはり見た所古くはないらしい。靴下はまっ白であるが、リンネルか、毛織りか、
見当がつかなかった。それから髯《ひげ》も髪も、両方とも白い。手には白い杖を持って....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
て行った。 「あれはどこへ行く?」 僕の先輩はこう言った。が、僕はどこへ行くか
見当も何もつかなかった。 「寿座! じゃあの荷車に積んであるのは?」 僕は今度....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
った一人立っているばかり、もう支那人の女の子は、次の間へでも隠れたのか、影も形も
見当りません。 「何か御用ですか?」 婆さんはさも疑わしそうに、じろじろ相手の....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
に不思議なことには、あの老人はどこへ行ったか、もうあたりにはそれらしい、影も形も
見当りません。その代り空の月の色は前よりも猶白くなって、休みない往来の人通りの上....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
ンもいるに違いないのだと思った。けれども、一体どうして息子を探せばいいのか、その
見当は皆目つかなかった。それに息子に別れてから、もう十五年にもなるのである。よし....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
は何のつながりも無い。地上にうごめく生命の一片。しかも、どこから来たのか、とんと
見当がつかぬその生命の一片は、思いのままに滅ぼすことが出来るのだ。滅ぼせば、何も....