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見得
「見得〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見得の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ひょっとこ」より 著者:芥川竜之介
も御題目を唱《とな》えない内は、箸をとらないと云った調子である。所が、平吉がお目
見得《めみえ》をしてから二月ばかりするとそこのお上《か》みさんがふとした出来心か....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
た、和光《わこう》の不破伴左衛門《ふわばんざえもん》が、編笠《あみがさ》を片手に
見得《みえ》をしている。少年は舞台に見入ったまま、ほとんど息さえもつこうとしない....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
云う必要はない。機械的訓練を貴んだり、動物的勇気を重んじたりするのも小学校にのみ
見得る現象である。殺戮《さつりく》を何とも思わぬなどは一層小児と選ぶところはない....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
父親《てておや》の医者というのは、頬骨《ほおぼね》のとがった髯《ひげ》の生えた、
見得坊《みえぼう》で傲慢《ごうまん》、その癖《くせ》でもじゃ、もちろん田舎《いな....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
威勢のほどは、後年地方長官会議の節《せつ》に上京なされると、電話第何番と言うのが
見得《みえ》の旅館へ宿って、葱《ねぎ》の※《おくび》で、東京の町へ出らるる御身分....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
て、茶棚の上へ手を遣った、活溌な身動きに、下交の褄が辷った。 そのまま横坐りに
見得もなく、長火鉢の横から肩を斜めに身を寄せて、翳すがごとく開いて見せたは…… ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
げにこそなれ、役には立たない。或は拡大鏡のようなものだ。私達はそれによって身外を
見得るけれども、私達自身の顔を見ることは出来ない。或は又精巧な機械といってもよい....
「『聖書』の権威」より 著者:有島武郎
します。芸術と宗教とを併説する私の態度が間違って居るのか、聖書を一箇の芸術とのみ
見得ない私が間違って居るのか私は知りません。(大正五年十月)....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
たから、ざっと用済みの処、そちこち日暮だ。……大和田は程遠し、ちと驕りになる……
見得を云うまい、これがいい、これがいい。長坂の更科で。我が一樹も可なり飲ける、二....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
かで濡れめえものを夕立だ、と我鳴った時よ。 (着物は一枚ありますから……) と
見得でねえわ、
見得でねえね。極りの悪そうに、人の心を無にしねえで言訳をするように....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
蝋燭火へ紙火屋のかかった灯の向うへ、ぬいと半身で出た工合が、見越入道の御館へ、目
見得の雪女郎を連れて出た、化の慶庵と言う体だ。 要らぬと言えば、黙然で、腰から....
「女客」より 著者:泉鏡花
美しい。 「これは憚り、お使い柄|恐入ります。」 と主人は此方に手を伸ばすと、
見得もなく、婦人は胸を、はらんばいになるまでに、ずッと出して差置くのを、畳をずら....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
こんな時に、いや、こんな時に限らない。すっぽりと被るのが、寒さを凌ぐより、半分は
見得で、帽子の有無では約二割方、仕立上りの値が違う。ところで小座敷、勿論、晴れの....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
は誰も居らんですから。」 海の方を背にして安からぬ状に附添った、廉平の足許に、
見得もなく腰を落し、裳を投げて崩折れつつ、両袖に面を蔽うて、ひたと打泣くのは夫人....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
かり、荒馬を一頭背負わされて、庄司重忠にあらざるよりは、誰かこれを驚かざるべき。
見得も外聞も無しに恐れ入り、 「平に御容赦てッたような訳なんです。へい、全く不可....