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見栄
「見栄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見栄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「家霊」より 著者:岡本かの子
》と一緒に窓から差し出した。 「御飯はいくらか冷たいかも知れないわよ」 老人は
見栄も外聞もない悦び方で、コールテンの足袋の裏を弾ね上げて受取り、仕出しの岡持《....
「妖術」より 著者:泉鏡花
か、自分でもよくは分らぬ。 そこにぼんやりと立った状を、女に見られまいと思った
見栄か、それとも、その女を待合わしてでもいたように四辺の人に見らるるのを憚ったか....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
い昼は山刈りと土肥作りとに側目も振らない。弟を深田へ縁づけたということをたいへん
見栄に思ってた嫂は、省作の無分別をひたすら口惜しがっている。 「省作、お前あの家....
「蠅男」より 著者:海野十三
駭させるほど残虐をきわめたものであるらしいことは、蠅男の口ぶりで察せられた。あの
見栄坊の蠅男が、それほどの大犯罪をやろうとしながら、相手に警告状を出さない筈はな....
「鶴は病みき」より 著者:岡本かの子
に砕けて応対してもそれはその人のとって置きの時間内での知己である。麻川氏のような
見栄坊な性格の人はなおさら、どんな親しい友人間としても全部の武装を解除しては逢っ....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
執拗な訊問が行われることと思ったのに、そんなことはなかった。係官は、たった一枚の
見栄えのしない油絵の紛失について、一向驚いていないように見えた。そればかりか、盗....
「雷」より 著者:海野十三
にも心が弱かったし、女のように拗ねたがる男であったし、そして自らは知らぬらしいが
見栄坊でもあった。彼は、そのために、決断力が足りなくて、そして自分で恋を捨てたよ....
「ある男の堕落」より 著者:伊藤野枝
本なんぞを入れて貰うと看守共が馬鹿にする」というのです。彼のこの子供らしい単純な
見栄にはみんなただ笑うより仕方がありませんでした。そんなくらいなので彼の読み物を....
「成長が生んだ私の恋愛破綻」より 著者:伊藤野枝
のでした。 私は永い間Oに会いもせず何の返事もしないでいました。私の対世間的な
見栄と、その
見栄に打ち克とうとする他の卒直な気持との争いでありました。私はやはり....
「女性の不平とよろこび」より 著者:岡本かの子
憐である。美女は美女なりに、醜女は醜女なりに、いかにも女性の心の弱さ、お洒落さ、
見栄坊であることを象徴して好い。 美女が化粧えば一層の匂いを増し醜女がとりつく....
「端午節」より 著者:井上紅梅
なかったが、今はすっかり気を更えて、いずれこの少年が子供を持つと、大概こんな大|
見栄を切るのだろうと、そう思うと何の不平も起らなくなった。また兵隊が車夫を擲ると....
「春」より 著者:岡本かの子
、抱えて見て可憐そうな体重の軽さ。背中を撫でると、かすかに寝息のような息づかい。
見栄も外聞もなく加奈子に委せ切った様子が不憫で、また深々と抱き寄せる加奈子の鼻に....
「錦紗」より 著者:犬田卯
以来傍目もふらずにかせぎためた虎の子だったのである。実際彼女はその五円のためには
見栄も外聞もかまっていなかった。町へ豚売りに行く兄貴の曳く荷車のあとを押したり、....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
鋭い怯えがたびたび来て、あわや叫び声を出しそうだった。しばしば凡情に立返りかけて
見栄も外聞もなく四つ匍いになって世界の果まで逃げ出し度くなった。やっと、それを止....
「和製椿姫」より 著者:大倉燁子
私は彼と友達だった。彼は高等学校時代からの道楽者で、富豪の息子にあり勝な、我儘で
見栄坊で、ひとりよがりの通人で、歯の浮くような男だった。が、女にかけては相当なも....