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見栄え
「見栄え〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見栄えの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新世帯」より 著者:徳田秋声
丸髷頭の短い首を据えて、何やら淡色の紋附を着た和泉屋の内儀さんであった。三番目に
見栄えのしない小躯のお作が、ひょッこりと降りると、その後から、叔父の連合いだとい....
「あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
、その眸《まな》ざしは小児らしく悲しそうに見えた。そうしてその飾りけのない眸は、
見栄えはしなかったが、どことなく気品のある彼女の顔につりあっていた。この様子は真....
「ズラかった信吉」より 著者:宮本百合子
メント》請求に関する訴訟です」 爺め! 信吉は変な気になった。 だって、この
見栄えのしない小さな女とは一つ建物に棲んでいて、朝晩見かける。グリーゼルと、内庭....
「すり替え怪画」より 著者:海野十三
執拗な訊問が行われることと思ったのに、そんなことはなかった。係官は、たった一枚の
見栄えのしない油絵の紛失について、一向驚いていないように見えた。そればかりか、盗....
「今日の女流作家と時代との交渉を論ず」より 著者:宮本百合子
性の作り出す創作には本当にユニックなものが乏しい。類型的でなくなる努力、淡泊さ、
見栄え等を本当のものにする精進、性の上から来る色々の欠陥と不自由、それから脱出す....
「粗末な花束」より 著者:宮本百合子
え、先夜の連れと、一つの籠をとり巻いていた。紅色帽の女が、何か云いながら、小さい
見栄えのしない花束を二つずつ少女の両手に持たせた。そして、肩を押すようにして人通....
「長崎の一瞥」より 著者:宮本百合子
るうちに、後の廊下で、一人の老人が丹念に人造真珠の頸飾や、古本や鼈甲細工等下手に
見栄えなく並べ始めた。 一眠りしたら、大分元気が恢復した。福島屋の其部屋から、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
イヤなおばさんその人の亡霊でもなんでもない、以前、一度見たことはあるが、根っから
見栄えのしない、いつぞやあちらの焼跡の柳の下で、どじょうを掬《すく》っていた紙屑....
「道連」より 著者:豊島与志雄
上級の或る男から目をつけられたことがある、この顔でね……。だがその頃は僕ももっと
見栄えがしたものだよ。その代り僕の方でも、同級の或る男に目をつけていた………と云....
「日本文化私観」より 著者:坂口安吾
のとき僕が驚いたのは、座敷でベチャクチャ喋っていたり踊っていたりしたのでは一向に
見栄えのしなかった舞妓達が、ダンスホールの群集にまじると、群を圧し、堂々と光彩を....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
息に似た感嘆の声がふと洩れた。 「名画というものは恐ろしいものだ。見れば見るほど
見栄えがする」 云いながら静かに立ち上がり床の間へ掛けて改めて見る。 「旦那様....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
どと結んで昔は三山があったのかも知れない。大和のウネビ、耳成、天の香具山の三山も
見栄えのしない低山だ。だが、三山にかこまれた飛鳥古京は小ヂンマリと平々凡々な小さ....
「かもじの美術家」より 著者:神西清
えなければいけないのです。 つまりそれは、かねがねアルカージイが伯爵のさっぱり
見栄えのしないみっともない御面相に取って附ける妙を得ていた、当のものだったのです....
「役者の顔」より 著者:木村荘八
で続々と新人の台頭を迎えながら、二月(二三年)の若手競演カブキなどもなかなか熱と
見栄えのあるものでしたし、三月新友右衛門の名びろめに出した扇屋熊谷の一役なども清....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
を背負って追い付く手筈に事は決ったのだ。二時間余りを費した大詰の幕としては、余り
見栄えもしないが、これまでに漕ぎ付けた役者の骨折は、傍で見ている程暢気なものでは....