見棄てる[語句情報] » 見棄てる

「見棄てる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

見棄てるの前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
ろ、打棄《うっちゃ》っておいたに違いはないが、快からぬ人と思ったから、そのままで見棄てるのが、故《わざ》とするようで、気が責めてならなんだから、」 と宗朝はや....
復讐」より 著者:夢野久作
…。 「……たといドンナ事があろうとも、僕は品夫を殺さない決心ですから……品夫を見棄てる気は毛頭無いのですから、何でもハッキリ云って下さい。……実松一家は、そん....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
上でもございましょうが、お連れ遊ばして下さいまし」 と頼まれて見ると宗達も今更見棄てる事も出来ず、 宗「それは気の毒なことで、それならば私と一緒に江戸まで行き....
石狩川」より 著者:本庄陸男
な存在であった。彼らが開拓の方針に身をささげようとしている限り、政府もまたこれを見棄てることは出来ない筈《はず》だ。すでにサッポロ本庁との間には諒解ずみになって....
我に叛く」より 著者:宮本百合子
せられ、やがて絶交されるものなら、雑作なく解決はつくだろう。併し、ゆき子に真木を見棄てることは、恐らく、自分の眼を抉ることとともに不可能であった。どれほど望を失....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
れます。飢えて凍えてたおれた処の。木の根、草の根、肥やすか知れない。それを承知で見棄てる鬼をば。キョロリキョロリと探して見まわす。憐れな患者の名残りの姿を。はる....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
子、林皇后太夫、その他数氏の懇篤なる引留め運動があったらしいが、翁は国許の門弟を見棄てるに忍びないからという理由で聊か無理をして帰ったらしい。しかもその以前から....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
然、良人殺しの罪人になるのだ。お貞、良人|殺の罪人になるのだ。うむお貞。 吾を見棄てるか、吾を殺すか、うむ、どちらにするな。何でも負債を返さないでは、あんまり....
黒百合」より 著者:泉鏡花
めんとしたのである。 拓は夢に、我は棄てられるのであろうと思った、お雪は自分を見棄てるであろうと思った。少年がその時のその意気、その姿、その風情は、たとい淑徳....
星女郎」より 著者:泉鏡花
ある。――構わず行こう。 「何だ。」 谿間の百合の大輪がほのめくを、心は残るが見棄てる気構え。踵を廻らし、猛然と飛入るがごとく、葎の中に躍込んだ。ざ、ざ、ざら....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
る人間、黒犬とあの盲乞食とが、その死んだ男の借金の支払のために自分たちの分捕品を見棄てる気になるということは、ありそうにもなかった。船長の言いつけたようにすぐに....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
もりなのだ! 小野 (意を決したように、悲壮な顔)石ノ上! 俺は失敬する! 君を見棄てるのは忍びないが、俺は気違いと行動を共にするのはまっぴら御免だ! 君がなよ....
望郷」より 著者:服部之総
うだ。函館は私の旅程の最後にあてられているために、船から汽車にのりかえて、窓から見棄てる函館平野の風景は、農家のたたずまいといい、耕地整理の行届き不行届きのむら....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
るであろうとの希望よ。この場所にまで私が携えて来た希望よ。今やそれはまったく私を見棄てるのほかはない。秋の樹の葉の地に落ちて朽ちたように――私のためには希望もま....