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「見比べる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
見比べるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
小柄な、色の黒い、眇《すがめ》の小銀杏《こいちょう》が、振り返って平吉と馬琴とを
見比べると、妙な顔をして流しへ痰《たん》を吐いた。
「貴公は相変らず発句《ほっく....
「冬」より 著者:芥川竜之介
でしょうね。」
従姉はやっと「たまらない」と云う顔をし、僕等|二人《ふたり》を
見比べるようにした。
「何、わたしが行って来ます。」
従兄の弟は無造作《むぞう....
「或る女」より 著者:有島武郎
どの狭い部屋《へや》に案内して、突っ立ったままで荒っぽく二人を不思議そうに女中は
見比べるのだった。油じみた襟元《えりもと》を思い出させるような、西に出窓のある薄....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
のじつにすっきりしたいやみのない群青《ぐんじょう》色でした。 しかし、よくよく
見比べると、三体の焼きぐあい、色付けの仕上がり、細工のできばえに、あきらかな優劣....
「手品」より 著者:佐左木俊郎
た。そして子供達は全部外へ飛び出したが、兵吉と仁吉と三吉とは、父親と母親との顔を
見比べるようにしながら、土間に突っ立っていた。 「阿呆め! 余計な者連れて来やが....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
。地の御生《おうまれ》でないということは美しい御言葉で知れました。奥様の白い手に
見比べると、母親のは骨太な上に日に焼けて、男の手かと思われる位。 「奥様、これは....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
町並みと、柳原あたりの(この辺は昔もあまり立派な町並みではなかったが)バラックを
見比べると、坐《そぞ》ろに今昔の感に打たれざるを得ない。 一年後の死骸臭 上野....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
そういう隠居も大分年をとったが、しかし元気は相変わらずだ。この宿屋には隠居に
見比べると親子ほど年の違うかみさんもある。親子かと思えば、どうもそうでもないよう....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
がら胸を躍らせました。お君はこうして、その写真を見ながら髪を結っては、また写真を
見比べるのでありました。おそらくはその姿を能登守に見せたいからではありません。た....
「自画像」より 著者:寺田寅彦
て非常に驚かされた。それよりも不思議な事は、子供の顔を注視して後に再び両親の顔を
見比べると、始め全く違って見えた男女の顔が交互に似ているように思われて来た事であ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ほど、その調子なら、もう心配はない」 甚三郎もまた、女の声と血色とを蝋燭の光で
見比べるように、燭台をなお手近く引き出して来ると、 「もし、あなた様は……」 ....
「カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
鳶色《とびいろ》の眼を高慢らしく、物問いたげに動かしながら、話し合っている二人を
見比べるのであった。左の窓側の婦人のわきには赤い巻き毛の、かなりに器量の悪い、若....
「渡舟場」より 著者:豊島与志雄
ンカチを顔にあてて、泣いていました。重兵衛のところの婆さんが、三人をかわるがわる
見比べるようにして、ひそやかに何か話していました。 それが、元彦には、初めて見....
「二人町奴」より 著者:国枝史郎
んだ裸体の男、鐘を引き起こすとカッパと伏した。龍頭を踏まえて突っ立ったが、左右を
見比べると両手を拡げ、さてそれから云いだした。 「お見受けすれば浪人組、今世上に....
「地上」より 著者:島田清次郎
うのね、それだよ。読もうか? ――聞いていたまえ、読むから」尾沢は深井と平一郎を
見比べるように、哀願と誇りを混濁させたような表情をして、「己という人間がどんな人....